テニスの赤土最高峰で28日から、今季4大大会第2戦の全仏オープン(パリ)が開幕する。男子では昨季まで、格段の強さを誇ったA・マリー(英国)、ジョコビッチ(セルビア)が低迷。一方、昨季をケガで苦しんだナダル(スペイン)が復活し、そこに若手が台頭した。女子もS・ウィリアムズ(米国)が産休。世界1位のケルバー(ドイツ)は全仏前哨戦3大会で初戦敗退が2回と失速状態で、男女ともに優勝争いは混迷を究める。今年の全仏の見どころを紹介する。

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 昨季の大会で、生涯4大大会全制覇を成し遂げたジョコビッチ。昨年8月の全米オープンから、個人戦6大会で1敗しかせず、初の世界1位になったマリー。ともに今季はまだ優勝1回にとどまっている。その隙間を縫ってナダルが赤土17連勝を記録。全仏9回の優勝を誇る赤土の王者がよみがえった。

 ただ、今大会で最も注目される男子は20歳のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)だ。前哨戦のイタリア国際決勝でジョコビッチを破り、マスターズ最年少優勝を遂げた。その優勝で初めて世界ランクトップ10入りを果たし、最も旬の若手だ。198センチの長身から繰り出されるサーブとストロークは威力だけでなく安定感もある。

 91年にロシアからドイツに家族で移住した。父も元ツアー選手で、兄のミーシャも選手。先週のジュネーブ・オープン準決勝で錦織を破り、決勝に進んだ。13年ジュニア世界1位に輝き、プロの世界でも一気に才能が開花した。

 女子は、全く誰が優勝してもおかしくない。16年12月、自宅に不法侵入した男に、利き手の左手を負傷させられた2度のウィンブルドン覇者クビトバが、約半年ぶりにツアー復帰を果たす。昨年の覇者ムグルサ(スペイン)は今季まだ決勝進出さえない。

 その中で、昨年初出場で3回戦に進んだ大坂なおみ(19=日清食品)が、どんなテニスを見せてくれるか。その強打が爆発すれば、赤土の上でも十分に戦える。昨年出場した4大大会ではすべて3回戦。その壁を越えられるか。

 ◆WOWOW放送予定 28日午後5時半から。WOWOWプライム。午後9時から。WOWOWライブ。ともに無料放送、生中継。男女シングルス1回戦。