リオデジャネイロ・パラリンピック陸上女子400メートル(切断などT47)銅メダルの辻沙絵(22=日体大)が11日、都内で行われた「オリンピック・パラリンピックシンポジウム」に出席し、20年東京パラリンピックに向けて女性コーチの必要性を訴えた。

 リオ大会でのドーピング検査で、たまたま女性コーチが不在で男性コーチが同行。尿を容器へ移すところを見られたり、ユニホームのゼッケン付けなどを男性コーチが行ったという。「男性に尿を見られたりするのはさすがに嫌だった。細かいことかもしれないけど女性選手への配慮が必要。本番は不安や緊張から精神面のサポートも重要で、パラスポーツを強化するためにも東京(大会)までには女性コーチを増やしてほしいです」と主張した。

 リオ大会では観客数に驚き、3年後に迫る東京大会での集客に危機感がある。「リオでは地響きが鳴るような大声援だった。果たして日本であのようになるのか不安…。国内の大会ではそういったことは経験したことがない。パラリンピックが知られていなかったり、認められていないのか。選手も頑張りますので、東京(大会)では、ぜひ、チケットを買って多くの人に足を運んでもらいたいです」。講演中の午後2時46分には、6年前に発生した東日本大震災の犠牲者へ向けて、黙とうをささげた。

 辻は小5からハンドボールを始め、日体大に入学。13年9月に東京五輪・パラリンピックが決まったことで大学側からパラ競技への転向を打診された。戸惑いもあったが、瞬発力が優れていたため陸上に決めた。15年12月にハンドボール部から陸上部に転部。水野洋子監督と二人三脚で練習を積み、リオ大会でメダルを獲得した。10日に同大を卒業し、4月から日体大大学院に進学する。