リオデジャネイロ五輪に出場する男子100メートルの山県亮太(24=セイコーホールディングス)が、追い風2・6メートルの参考記録ながら10秒09の好タイムで優勝した。スタートから体1つ抜け出し、10秒27で2位の大瀬戸(法大)らに完勝。五輪前最後のレースで自己ベストの10秒06に迫った。

 不満そうな表情に、日本人初の9秒台への期待が高まる。6月の日本選手権を終え、今は五輪に向けて体を作り直している最中。調整の意味もあったレースをスロー映像で見直すと、上体が起きるのが早かった。「上半身と下半身がバラバラ。空中分解に近かった」という感覚の中で10秒0台を出しており、今後スピード練習を本格化させれば、五輪で歴史的瞬間が訪れる可能性もある。「五輪では予選から自己ベストを出す」。最後まで口調は冷静ながら、山県は確かな手応えを感じていた。