川崎FのFW三好康児(19)が、2日の第2ステージ第1節の仙台戦でプロ初ゴールを決めた。本人以上に喜びを爆発させたのがチームメートだった。MF大島僚太(23)、FW小林悠(28)、MF中村憲剛(35)、FW大久保嘉人(34)が次々と三好を抱きしめにいった。中村は「息子のゴールを喜ぶお父さんの心境だった。リアルに年齢も半分ぐらい違うから」と笑い「嘉人がお母さん、悠が兄貴という感じだったかな」と目を細めた。若きFWの台頭を全員で喜び合う。年間勝ち点1位と好調の今季チームの結束を象徴するシーンだった。

 プロ1年目の昨季、4月のナビスコ杯神戸戦でプロ初先発を果たすも、持ち味を出せずにハーフタイムでベンチに下がった。中村に「縮こまってミスを怖がる三好は見たくない。おどおどしたプレーはするな」と叱咤(しった)され、以降はピッチに立つと積極的に前に仕掛け、シュート打つことを心掛けた。今季はナビスコ杯5試合に先発出場。再三の好機を得るも、ゴールネットを揺らせず、もどかしさを抱えていた。「1点取れれば…。早く決めたい」。練習で大久保、小林のシュートを盗み見てきた。「最後の落ち着きが自分には足りない」とシュートの練習を重ねてきた

 ようやくたどり着いた初得点。三好は「ここまで数多くチャンスがあって、そろそろ決めないと怒られるかなと思ってやっていた」と苦笑。仙台戦もファーストシュートを外し「今日もまた、入らないのかな」と一瞬、弱気になったが、信じて打ち続けた結果、新たな扉を開いた。チームメートの祝福に「僕以上に喜んでくれて…」と感慨もひとしおだ。

 6日には社会人として選挙も初体験した。18歳選挙権が適用されたことで、神奈川・麻生区役所で参院選の期日前投票を済ませた。しっかり各政党の公約や候補者の横顔をインターネットでチェックし、1票を投じた。ベテラン選手が「息子」の気持ちで見守る若手は、ピッチの内外で大人の階段をしっかり登っている。【岩田千代巳】


 ◆岩田千代巳(いわた・ちよみ) 1972年(昭47)、名古屋市生まれ。お茶の水女子大卒業後の95年、入社。文化社会部で芸能の音楽を中心に取材。12年11月、静岡支局で初のスポーツの現場に。13、14年磐田担当。15年5月、東京スポーツ部に異動し、川崎F担当。