「細密検査」。入管職員のコンピューター画面に赤い表示が出た。W杯ブラジル大会アジア3次予選で15日に北朝鮮と対戦する日本代表は14日、到着した平壌国際空港で徹底検査を受け、約4時間も足止めされた。8月末に北朝鮮代表が日本に入国した際、日本側が制裁措置に従って徹底した荷物検査などを実施したことへの対抗措置とみられる。

 日本サッカー協会関係者らを含めて約50人のチームは北朝鮮側が特別に用意した2つのブースで入国審査を受け、さらに税関へ。選手らは税関のターンテーブルに座り込んで「もう3時間だ。あとどれだけかかるんだ」とあきらめ顔だった。

 故金日成主席と金正日総書記の肖像画が掛かった空港ビルに滞在中に3度も停電となった。日没後で建物内が真っ暗になったときは、チームが気を紛らわせようと拍手をする場面もあった。

 入管職員は画面と入国カードを見比べては住所や職業を細かく質問。「書類不備」のためか、ザッケローニ監督が困惑した表情でブースから引き返す一幕もあった。ある職員は「初めて入国する人も多く、規定に従っているまで」と説明した。

 後続便の日本人サポーターらは税関でカメラや日本代表ユニホームの持ち込みを認められず「覚悟はしていたが、こんな厳しい対応とは」とうんざりした様子だった。