<国際親善試合・キリン杯:日本4-0ベルギー>◇5月31日◇国立

 日本代表が、MF中村憲剛(28=川崎F)を2列目中央に置く布陣で、ベルギーに4-0で大勝した。中村憲は前半21分にDF長友の先制ゴールをアシストすると、同23分には自ら右足で2点目を決めた。MF中村俊、FW大久保、MF遠藤ら主力組と共存する形で、中村憲が中央に入って先発するのは初めてだったが、6日のウズベキスタン戦に向け、岡田ジャパンは新たなオプションを手に入れた。

 高々と手を突き上げた、中村憲の笑顔がはじけた。前半23分に左サイドの大久保からパスを受けると、右足で切り返してDFをかわし、右足を思い切り振り抜いて決めた。前半3分に珍しくヘディングシュートを放つと、後半2分にもゴール正面でパスを受けると迷わずシュート。両軍最多となる、6本のシュートを放った。

 MF中村俊、FW大久保ら欧州組が入ったベストの布陣で、中村憲が2列目の中央で先発したのは初めてだったが、特に中村俊との連係はスムーズだった。流れるような動きからポジションをチェンジさせ、前線で攻撃の起点となり続けた。「自分の特徴を周りに分かってもらえて、早めにボールを預けてくれるようになった。信じて走ればボールが出てくるのを感じるし、出なくても自分を見てくれていると感じる」。「憲剛システム」の手応えを、自分自身が最も感じていた。

 岡田監督も中村憲を絶賛した。「憲剛にはFWが下がったりサイドに流れたとき、スペースに入っていけと言った。点に絡む才能を感じている。あのポジションは、はまる」。玉田、田中達の2トップが不在ゆえの緊急措置だったが、それに応えた中村憲を評価した。もともと中村憲には、年明けから攻撃的な仕事をするよう課題を出し、チリ戦の前にもイングランド代表MFジェラードをイメージするよう伝えていた。

 ただ「憲剛システム」を、現状ではあくまで1つのオプションとしてしか見ていないことも明かした。ウズベキスタンでは、MF松井も合流するため「同じ形で行くかどうか、まだ決めていない」という。中村憲も「この試合に勝つなら、これでいいのかもしれないけど、そうじゃない。中盤に下がってもサイドに開いても、ただやり続けることが大事」と気を引き締めた。オプションから、日本代表の定番システムへ。中村憲の日本代表での本当の戦いが、今、幕を開けた。