<W杯アジア3次予選:日本0-1北朝鮮>◇C組◇15日◇金日成競技場
サッカー日本代表が22年ぶりに敵地・平壌で臨んだ北朝鮮戦で会場となった金日成競技場は、約5万人の北朝鮮サポーターで埋め尽くされ、異様なムードに包まれた。試合前の「君が代」が流れる中の大ブーイング。試合後も、多くの観客が会場に残り、大合唱し、勝利の余韻にひたった。外国人用席には、よど号ハイジャック事件で国際手配中の元赤軍派メンバー、若林盛亮容疑者(64)の姿もみられた。
「チョソン
イギョラ(朝鮮
勝て)」。北朝鮮国旗がはためく金日成競技場のスタンドに、巨大な人文字が浮かび上がった。詰め掛けた5万人の北朝鮮サポーターは、お家芸「マスゲーム」をほうふつとさせるウエーブも披露するなど、一糸乱れぬ応援ぶり。スタンドに入りきれない市民が競技場の入り口で「立ち見でもいいから」と係員に詰め寄る場面もあり、「宿敵」日本戦への国家的関心の大きさをうかがわせた。
平壌市内の会社員男性は「(北朝鮮)国民の反日感情を考えれば、応援は盛り上がる」と話す。競技場施設担当の女性は、勝利に「言葉にならないほどうれしい」と感激した様子だった。外国人用席には、70年によど号ハイジャック事件を起こして同国に亡命中の若林容疑者らの姿もあり、同容疑者は「(北)朝鮮を応援しようと思ってきたけど、試合を見ているとやはり日本を応援してしまうな」とコメントした。
一方、わずか150人の日本人サポーターは北朝鮮側に日の丸、鳴り物、横断幕の3点セットの持ち込みを禁止され、試合中は朝鮮人民軍内務軍の保安員が周りを取り囲むなど、ぴったりマーク。時折、上がる「ニッポン」コールが、選手に届いたかどうか。腰を上げようとすると、保安員に「立つな」と身ぶりで厳しく注意された。
そんな中でも、こっそり持ち込んだ日の丸付きのシャツで気勢を上げたサポーターも。東京都の会社役員、園田崇さん(38)は「声だけだったが、みんな一生懸命応援した」。また、都内の30代男性は「いい試合だったが応援には圧倒された。日本が勝っていたらどうなっていたか。ちょっと怖かった」。強烈すぎるアウェーの洗礼に驚いた様子だった。


