浦和は21日、ロンドン五輪代表候補のMF山田直輝(21)が左膝前十字靱帯(じんたい)を損傷したと発表した。20日に行われたナビスコ杯1次リーグ仙台戦に先発出場したが、負傷退場していた。今月末に手術を予定しており、全治は術後に発表される。山田直と話したミハイロ・ペトロビッチ監督(54)は「五輪には行けないが、今度は目標をブラジルW杯に向けなさいと話した」と、五輪出場が絶望的であることを明かした。

 無念の負傷となった。山田直はナビスコ杯仙台戦に攻撃的左MFとして先発。前半27分、ゴール前で左ひざを痛めた。患部を押さえて倒れ込み、直後に自ら両手でバツ印を作った。そのまま両手で顔を覆い、担架で運び出された。試合後に病院へ直行し、診察を受けていた。

 この日、ペトロビッチ監督は「一番心が痛いのは、彼は五輪も目の前に迫っていた中でケガをしたということ。彼にとっては、残念なことだと思う。今日彼と、五輪には行けないが、今度は目標をブラジルW杯に向けなさいと話した。気持ち的に強く、新たな目標を持って前向きに進んでやっていくことが大事だ」と話した。

 ここまでも、ケガとの闘いだった。10年1月6日には、先発したアジア杯最終予選イエメン戦で右腓骨(ひこつ)を骨折し、公式戦4試合出場にとどまった。昨年は27試合1得点だったが、今年に入ってからは負傷続きだった。2月にロンドン五輪最終予選シリア戦後の10日、指宿市内で行っていたチームキャンプ中に、右中臀(でん)筋を肉離れ。全治2週間と診断され、その後の最終予選メンバーから外れた。

 さらに左ひざの炎症を起こしたが今月10日、関塚五輪代表監督も視察に訪れたリーグ開幕広島戦には先発出場。試合後には「常に五輪を目標にしている」と話していたばかりだっただけに、悔しい離脱となった。

 ◆前十字靱帯メモ

 ひざ関節の中にある強靱な靱帯で、大腿(だいたい)骨と、頸骨(けいこつ)を結ぶ。もう1本の後十字靱帯とクロスしており、これが断裂するとスネの骨が前方に回旋しながらずれ、支障を来す。サッカー選手では、東京のMF米本が11年4月に左膝前十字靱帯を損傷し、全治8カ月。同年9月にはなでしこジャパンFW丸山が右膝前十字靱帯を損傷し、全治6カ月と診断された。