日本協会が南米連盟から招待を受けている15年南米選手権チリ大会に、U-22(22歳以下)世代を中心とした日本代表の派遣を検討していることが27日、明らかになった。15年は1月にA代表のアジア杯、2月に16年リオデジャネイロ五輪予選を兼ねたU-22アジア選手権があり、JリーグもJ1が2ステージ制+ポストシーズンの新方式を導入する年のため、過密日程は必至。その中で日本協会上層部は参加の可能性を探り、「リオ五輪世代」の派遣を打診。南米連盟が承諾すれば、正式決定する。

 15年南米選手権が「リオ五輪世代」の最高の強化の場になるかもしれない。日本協会幹部によると、同協会では今月に入り、南米選手権にU-22世代を中心とした日本代表を派遣する案の検討を開始。「南米連盟にも、その案についての打診をしている」という。

 招待を受けるのは2大会連続3回目。ただ、前回の11年大会は東日本大震災の影響でJリーグの日程が変更されたこともあり、出場を辞退した。今回は15年が過密日程を強いられる状況のため、出場の可否は慎重に討議されてきた。

 15年は1月に2連覇がかかるA代表のアジア杯、2月にはリオデジャネイロ五輪予選を兼ねるU-22アジア選手権が開催。夏場には国内組中心の構成のA代表が出場する東アジア杯も行われる予定の上に、J1が2ステージ制+ポストシーズンという新大会方式を導入する年。Jリーグ側も南米選手権が開催される6月から7月初旬にかけてJ1リーグ戦を行う見込みだ。

 さらに国際サッカー連盟(FIFA)は1年に2つの大陸選手権に出場できないという規定を定めており、アジア杯に出たベスト布陣のA代表メンバーの出場は不可能。招待国の日本には南米選手権に対する選手の拘束力がないため、アジア杯メンバー以外の海外組の出場も困難だ。以前に日本協会の大仁会長は「本当のA代表は出られるか分からない」と明言。9月上旬にアルゼンチンで開催された南米連盟の式典を訪れ、事情を説明していた。

 そこで持ち上がったのがリオ五輪を見すえたU-22を中心とした代表の出場。現在20歳以下の世代で、清水MF石毛秀樹やC大阪FW南野拓実ら、既にJ1で主力の選手もいる。実際、日本が出場を辞退した11年に代替出場したコスタリカ代表は、U-22+オーバーエージという「五輪仕様」で前例を作っている。日本の方針が南米連盟に承諾されれば、正式決定となる。

 五輪世代を中心とした代表の南米選手権出場が決まり、15年2月のU-22アジア選手権で“リオ切符”を獲得できれば、同6月開幕の南米選手権は翌年の五輪へ向けた格好の強化の場。仙台の手倉森監督が監督の最有力候補に挙がっている「五輪代表」にとっても、極めて重要な舞台になる。

 ◆南米選手権

 南米連盟が設立された1916年に始まった世界一古い大陸選手権。主催は同連盟で、2015年チリ大会は第44回大会。開催間隔は07年ベネズエラ大会以降は4年おき。大会方式も一時ホームアンドアウェー方式で行われた時期があったが、現在は集中開催方式。93年エクアドル大会に米国、メキシコを招待して以来、常に近隣国を招待。99年パラグアイ大会には日本が招待され出場。11年にも日本は招待されたが、東日本大震災の影響で出場を辞退。最多優勝国はウルグアイで15回。