最強ストッパーが堅守を支える。仙台DF渡部博文(27)が「自陣ペナルティーエリア(PA)内からのクリア数」でリーグトップの数字を出している。日本代表DF丹羽大輝(G大阪)らを超えるダントツの61回をマーク。リーグ最近2試合連続完封勝ちに貢献した「クリア職人」が第1ステージ残り2戦、G大阪戦(20日)、名古屋戦(27日)でも鉄壁となりチームの勝利につなげる。

 渡部の職人技が光る数字だ。自陣PA内クリア数1位。今季加入の186センチのセンターバックは開幕から、堅守仙台の要として最終ラインで体を張り続けてきた。データはそれだけ攻め込まれているという見方もできるが、渡部は1つの指標として「データは大事にしているし、何事も1番はうれしい。危機察知ができているということなら、なおさらうれしい」と話した。

 チームは前節鳥栖戦で5-0の大勝後、2日間のオフを挟み、この日から練習を再開。インターバル走などフィジカルトレーニングを中心に約2時間汗を流し、渡部はハードな走り込みにも笑顔も見せながら練習を消化した。

 第1ステージも残すところあと2試合で、7位まで順位も挽回中。強敵との2連戦が待つが「前線に良いボールが収まれば攻撃陣もやりやすいはず。後ろが安定したプレーで失点をゼロに抑え、鳥栖戦の勢いを持って勝ち点を重ねたい」と連続完封で第2ステージにつなげるつもりだ。

 故障離脱していた鎌田や上本が全体練習に合流するなど、DF陣の競争も再び激化し始めた。渡部は「クリアをいかにパスにつなげられるか」と攻撃への切り替えを意識する。「クリアで切るプレーも大事だが、良いボールがつながれば攻め込んで来た相手を置き去りにできる。今回数字が出た60回を全部良いパスにつなげられていれば、代表にもなっていたかもしれない」。仙台の鉄壁クリア職人は「全てのプレーが代表につながる」と、さらなる進化を遂げながらチームを上位へ導く。【成田光季】