サッカーの2002年W杯日韓大会招致決定後、日本サッカー協会会長を務めていた長沼健氏が南米サッカー連盟に投票の謝礼金として150万ドル(約1億8700万円)を00年に渡していたとスペインのスポーツ紙アス(電子版)が19日付で報じた。南米連盟で15年間働いた元職員の話としている。長沼氏は08年に死去した。

 元職員はかつて国際サッカー連盟(FIFA)理事を務め、米司法当局に起訴されて自宅軟禁下にある南米連盟のニコラス・レオス元会長が、世界中から集まった金を着服してきた実態を明らかにしている。謝礼金は南米の各国協会に分配する予定だったが、120万ドルをレオス元会長が個人口座に入れて20万ドルが南米連盟の事務局長、10万ドルがFIFAとの渉外担当を務めた南米連盟職員に渡ったとしている。

 この報道に対し、日本協会の小倉純二名誉会長は「それはあり得ない。どうしてそんな話になるのか」と否定。FIFA理事を務める日本協会の田嶋幸三副会長は「分からない」と困惑した様子だった。

 ◆サッカーW杯日韓大会 1996年にFIFAが、日本と韓国による共催を決定。アジアでは初開催でもあった。大会には32チームが出場し、2002年5月31日から6月30日まで両国で10ずつの計20競技場を舞台に行われた。2度目の出場だった日本は初勝利を挙げるなど初めて1次リーグを突破し、ベスト16に入った。韓国はアジア勢で初めて準決勝に進み、4位に食い込んだ。決勝はブラジルがドイツを下し、5度目の世界一に輝いた。