元日本代表が、Jリーグの「レジェンド」になった! 名古屋GK楢崎正剛(39)はアウェーの柏戦に先発し、史上初のJ1通算600試合出場を達成した。

 晴れの舞台で3度も相手にゴールを許した。プロ21年目、前人未到のJ1通算600試合出場を達成した楢崎の記念すべき一戦は無残な敗戦だった。偉業達成にも「シンプルに仕事をやり続けてきただけですから」と言った。

 認めたくはないが、失点もGKの仕事のひとつ。ネットを揺らされても、すぐ立ち上がり切り替えて次に備え続けた。600試合で、通算失点は829。こちらも史上最多。39歳は、誰より多く苦い思いをさせられてきた。10年に発売された自著のタイトルは「失点」。もう切っても切れない関係。この日に失った3点は守備組織の問題だった。相棒のDF闘莉王はけが人続出でFWに入っていた。すべてGKにはどうしようもない状況にも見えたが「全部のシュートを止めるために、練習からやっている」-。この信念がある。次に進むための原動力、また1つ悔しい試合が増えた。

 出会った人から、こう声を掛けられる。「いつも怖い顔をされているから、もっと怖い人だと思っていました」。楢崎は「キーバーが注目されるのは失点した時。だから怖い人だと思われる…」と苦笑いする。点を取ればOKといったFWのような華々しい立場ではない。何度も悔しい思いをさせられたから、けがも乗り越え、ここまで続けられた。「タイトルも欲しいし、まだ幾つものことを成し遂げたい。満足という感じはない」。失点は不本意だが完封でスッキリ飾るよりある意味、この男らしい通過点だった。【八反誠】

 ◆楢崎正剛(ならざき・せいごう)1976年(昭51)4月15日、奈良県生まれ。奈良育英高から95年に横浜F入り。クラブ消滅に伴い99年に名古屋移籍。10年に主将として初のリーグ制覇を成し遂げMVPに輝く。日本代表でW杯4度出場。国際Aマッチ通算77試合出場。187センチ、80キロ。

 ▼J1通算600試合出場 名古屋のGK楢崎正剛(39)が3日の柏戦(柏)で達成。J1史上初。初出場は横浜F時代の95年8月16日の平塚(現湘南)戦。

 プレミアリーグではギグス(マンチェスターU)とランパード(チェルシーなど)、ブンデスリーガではカールハインツ・コーベル(フランクフルト)、セリエAではマルディーニ(ACミラン)とサネッティ(インテルミラノ)ら、海外でもリーグ戦600試合出場は珍しい。