サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」MF澤穂希(37=INAC神戸)の引退試合に、男女の各国代表選手らを集めて行う計画があることが19日、分かった。来夏を第1候補に今後、日程調整を進めていく。会場は東京、神戸の2カ所を予定。チャリティーマッチで収益金の一部を女子サッカー普及に利用する案も出ている。

 澤は引退試合もワールドクラスだ。関係者は「ワンバック選手やカズ選手など、国内外の選手に来ていただいて、盛大にやりたいと計画しています」と明かした。女子の大規模な引退試合は国内では異例。しかも、男女の区別なく、代表クラスの選手を招く意向だ。ドリームマッチ実現に向け、すでに所属先のINAC神戸、日本協会などが協力して人選を図りながら、各選手への参加打診を進めていく。

 国外では親友でもあり戦友で、澤が引退表明した16日に引退試合を行った元米国代表ワンバック氏や女子W杯カナダ大会決勝の日本戦で3得点したロイド。国内ではなでしこジャパンのメンバーやOG、男子では本田、香川ら海外組、横浜FCカズやラモス氏、釜本氏ら新旧日本代表の名前も挙がる。他競技や他分野の著名人にも波及する可能性もある。

 日程はリオデジャネイロ五輪後の来年8月下旬を第1候補に検討中。開催地について関係者は「INAC神戸の本拠地神戸だけでなく、出身地の東京でもやらなくてはいけない。それだけの功績ですから」と話す。複数都市でのツアー形式も視野に入れている。

 澤は東日本大震災復興支援にも積極的だ。発起人の1人として、12年12月には、なでしこジャパンやヤングなでしこ、元男子日本代表を集めた慈善試合を実施。昨年1月には出身地の東京・府中市でフットサルでも行った。今回もチャリティーマッチでの開催を検討。収益金の一部を女子サッカーの普及や、被災地支援に役立てられれば、澤の意向にも合致する。

 12年に国際サッカー連盟(FIFA)年間女子最優秀選手賞を受賞し、国際的にも知名度はあるだけに、欧州クラブの有名男子選手が参加すれば、さらに夢は広がる。世界の女子サッカー界を驚かせてきた澤に、最高の花道が用意される。

 ◆日本代表の主な引退試合 釜本邦茂は85年8月、ヤンマー対日本選抜として東京・国立競技場で開催。ブラジル代表のFWペレやMFオベラートを招いた。ラモス瑠偉(現J2岐阜監督)は東京・国立競技場で行い、カズや森保(現広島監督)らが参加した。名波浩(現J2磐田監督)は10年1月、中田ら98年W杯日本代表のチームメート15人を招いて行った。鹿島に所属していた柳沢敦、中田浩二、新井場徹の3人は15年7月、合同引退試合をカシマスタジアムで開催した。