道産子最年長が強行出場で2連勝に導く。左脇腹痛で別メニュー調整だったJ2札幌MF石井謙伍(29)が9日、札幌・宮の沢での全体練習に復帰した。前節岐阜戦で負傷した左脇腹に痛みは残るも、13日のホーム開幕愛媛戦(午後1時、札幌ドーム)へ「ここで休むわけにはいかない。我慢してやればできる」と出場志願。3戦連続先発で、07年以来9年ぶりの本拠開幕白星を呼び込む。

 石井が体を張ってピッチに立つ。岐阜戦での競り合いで左脇腹を負傷。札幌に戻った2月29日のトレーニングは、ランニングしただけでも激痛が走った。この日も痛み止めの薬を飲んでの練習参加だったが、フルメニューを消化。「痛みはあるけど、ホーム開幕は何としても出たい。大事なときに、休めないですから」と前を向いた。

 1年前の苦い思いを、勝利で振り払う。昨年3月15日、ホーム開幕長崎戦は、2戦連続先発し、試合中に相手選手と激突し、左頬骨を骨折し途中退場。試合も敗れた。「あそこから長引いてしまった」。約1カ月の離脱後、4月22日に復帰も、定位置奪取を狙い張り切りすぎた結果、1週間後の5月1日に左内転筋を肉離れ。同27日に復帰し3試合ベンチ入りも、今度は7月2日に左太もも痛発症と、負傷を繰り返した。

 頬骨骨折に始まった負の連鎖は、8月に先発復帰するまで5カ月続いた。「今季はシーズン通して試合に絡みたいし、ホーム開幕はケガせずに終わりたい」。今季は開幕東京V戦で、積極的なボール奪取からの仕掛けでアピール。初勝利の前節岐阜戦は、前半33分に自ら放った右足シュートが相手ハンドを誘い、2点目のPKにつながった。2戦続いた良い流れをホームでも継続し、勢いづける。

 札幌は08年から昨季まで8シーズン連続本拠開幕白星なし。チームは変わり、最後に勝利を挙げた07年ホーム開幕(1○0鳥栖)を知る道産子は、石井しかいない。「まだ1勝。ホームでも続けて勝たないと意味がない。アシストでもゴールでも、とにかく絡んでいきたい」。13年まで在籍した愛媛にはFW河原、DF内田らかつての戦友も残る。「気持ち高ぶる要素は多い」。痛みに耐え、昨季1分け1敗と苦しめられた古巣にリベンジする。【永野高輔】