5年ぶり函館開催は5発固め打ち! J2札幌は横浜FCに5-2で勝ち、4連勝となった。今季ホーム初先発のMF荒野拓馬(23)が初ゴールを決めるなど1得点1アシストの活躍。5得点は函館開催では最多で、リーグ戦では09年8月30日草津(現群馬)戦以来7年ぶりとなった。地震の影響で熊本戦が延期され1試合未消化も、リーグ前半戦は14勝3分け3敗、勝ち点45の首位で折り返した。

 新幹線の街・函館で、荒野が目覚めた。まずは1-0の前半41分、左クロスでFWヘイスのゴールをアシスト。後半開始直後の2分には、MF堀米の縦パスに抜け出し、右サイドから思い切って右足を振り抜いた。シュートは横浜FCのDF永田の左足をかすめてコースが変わり、GK南の股間を抜け、ゴールに転がり込んだ。

 得点は昨年5月24日徳島戦以来で、ホームでは14年6月28日岐阜戦(札幌厚別)以来736日ぶり。「ラッキーでした。入っちゃったって感じで。笑っちゃいました」と謙遜したが、相手DFが足を出すと想定してバレーボール的「ワンタッチ」を狙ったアイデア弾だ。2-0から、どちらが先に点を取るかで流れは変わる。思い切りの良さが生んだ3点目が結果的に勝利を決め、四方田監督も「2点取った後に追加点を取れたことが良かった」と意義を口にした。

 1月末に恥骨を亀裂骨折し、開幕戦は間に合わなかった。復帰後の4月にへんとう炎で離脱。5月26日の練習中には、左足底痛を発症して再々離脱と不運が続いた。

 別メニューで苦しむ6月、友人の子供が出場する中学生の試合を観戦に行った。無心でボールを追う姿を目の当たりにし、初心に立ち返った。試合後に残した「仲間や応援してくれる人への感謝の気持ちを忘れないで」というメッセージは、自身に向けたものでもあった。負傷の宮沢主将に代わりキャプテンマークをつけ、夢中で走った90分。そして、5年ぶり開催を待ちわびた函館の1万442人の観衆に1得点1アシストと感謝の意を示した。

 五輪は逃したが「リオがサッカー人生のすべてじゃない。選ばれなくて良かったと言えるようにしていけばいい。次はA代表に選ばれるようチームで結果を出していく」と前を向いた。よりビッグな夢を成し遂げるため、まずはJ1一本に狙いを定め、突っ走っていく。【永野高輔】