天才がピッチに帰ってくる。J2札幌MF小野伸二(36)が、今日25日の岐阜戦(札幌ドーム)で、5月28日山口戦以来10試合ぶりにベンチ入りする。出場すれば5月26日アウェー群馬戦以来11戦、60日ぶりで、ホームでは今季初の“お披露目”となる。移籍後3シーズン目にして初のドーム弾をたたき込み、首位チームを、さらに勢いづかせる。

 はち切れんばかりの笑顔だった。岐阜戦前日の24日、小野はグラウンドに一番乗りで飛び出しボールを蹴り出すと、約1時間半の全体練習後、居残りでFK練習。最後の1本を右足で柔らかくカーブをかけ気持ち良く蹴り込み、次は河合とのステップ練習、はだしで20分走、さらに10分間の体幹トレーニングで締めくくった。

 「いつでもいける準備はできている。出番が来たら、しっかり自分の良さを出したい」。股関節痛から12日に完全合流も、16日の練習で腰をひねり、予定していた17日の練習試合を回避した。最後に出場した5月26日群馬戦から約2カ月が経過。ようやく大好きなサッカーでファンを喜ばせることができる。「良い状態になるまで我慢できたのが良かった」。痛くても「やれる」と突っ走ってしまう天才をスタッフが抑え、本人も耳を傾け、ここまでたどり着いた。

 ホームでの出場は昨年11月23日の最終栃木戦までさかのぼる。今季4月23日C大阪戦(札幌ドーム)は、0-0の後半30分過ぎにピッチサイドで準備も、同37分にMF稲本の決勝点が決まり、逃げ切り態勢に入ったため出場がなくなった。同ドームでの前節20日松本戦前には、ベンチ脇に座ってチームメートの練習をじっと見守っていた。早くこの輪に入りたい-。その思いを果たす時が来た。

 前半戦は5試合にとどまったが首位固め、さらに逃げ切りでのJ1昇格につなげるには小野の力が必要だ。「前回ホームで勝って勢いが出た。良い形で先制点を取れれば」。札幌での得点は昨年10月4日東京V戦(味スタ)と同10日金沢戦(札幌厚別)の2点。待望の3号は、ドーム大観衆の前で、華麗に流し込む。【永野高輔】