主役なき札幌が、一丸で16年J2の主役になった。最後はスコアレスドローで優勝と昇格が決定。四方田監督は今季最多3万3697人の観客に向かってあいさつした。「最後は勝って決められれば格好良かったのですが、42試合での昇格を一番に考えていたから。サポーターに昇格と優勝をプレゼントできて良かった」。FW都倉19点、MFジュリーニョ12点、FW内村11点と、2桁得点が3人はクラブ初だ。総力を結集して札幌移転20周年に花を添えた。

 勝負どころで元日本代表の2人が躍動した。MF稲本は4月のC大阪戦に途中出場し、移籍初ゴールで勝利に導いた。しかし、6月の千葉戦で右膝前十字靱帯(じんたい)断裂。今季絶望となってからは全員が「イナさんをJ1へ」と声を上げ、ベンチに背番号17のユニホームを掲げ、1つになった。

 股関節痛を抱え15試合無得点に終わったMF小野も陰で支えた。リーグ終盤の10月22日東京V戦でホーム初黒星、同30日熊本戦で初連敗、11月6日徳島戦で初の逆転負けと失速。2位松本に勝ち点81で並ばれた直後、当初はシーズン終了まで休むはずだった小野が、痛みを押して強行復帰した。この日はタッチライン際でウオーミングアップ中に終了を迎えたが、「みんなが1つになれたことが昇格の理由」と振り返った。

 最終節の4日前からはOBの中山雅史氏がS級コーチの研修のためチームに交じり、闘魂注入した。稲本、小野、ゴン中山がそろった。今季初めて自動昇格の可能性が出た残り5試合以降は苦しんだが、選手、スタッフ、OBまでも力を合わせ一体感でJ1昇格をつかみ取った。【永野高輔】

 ◆コンサドーレ札幌 前身は1935年(昭10)創部の東芝サッカー部で、96年に札幌市に移転し、北海道初のプロチームとして創設。チーム名は「道産子(どさんこ)」の逆さ読みに、ラテン調の掛け声「オーレ」を合わせた造語。J1では01年の11位が最高で02年16位、08年と12年が18位。J2では00、07年に続き、3度目の優勝。本拠地は札幌ドーム。