創立20周年の節目の今季、J2札幌がJ1昇格&J2優勝を決めた。開幕から間もなく首位に立ち、トップを快走。得失点ともにリーグ2位と、攻守両面で安定した戦いを見せた。4季ぶりのJ1復帰となる来季へ。11月30日の契約更改交渉で、クラブから正式な続投要請を受けた四方田修平監督(43)に、今季の戦いぶりと「J1定着」への意気込みを聞いた。

 -優勝おめでとうございます。42試合を戦い、決め手となったものは

 チーム全体が結束して、崩れることなく開幕から最終戦まで戦えたことが大きかった。今年はいろいろなことがうまくいったと感じている。まずは、補強。新たに加入した選手、中でも外国人3選手が非常に活躍してくれた。

 -ホームで勝率81%と圧倒的な強さを誇った

 欠かせなかったのはサポーターの存在です。プロとして、どんな状況でも全力でやっているつもりだけど、サポーターの声がプラスアルファの力を引き出してくれた。勝つ雰囲気を作ってくれた。一番苦しかったシーズン終盤、千葉戦(11月12日・フクアリ)においては、ホーム最終戦の相手をしのぐ数のサポーターが敵地まで足を運び、応援してくれた。最後に昇格できた大きな要素だ。

 -10位に沈んだ昨季から学んだこと

 去年は点が取れなくて、攻撃を主な課題として取り組んできたけど、今年はもう1度守備を見つめ直した。そこが強くないと、長いシーズンを勝ち抜けない。選手には守備への厳しさと高い意識を要求した。去年は勝ちきれなかったり、逆転される試合が多かったが、今年は先制した後に抜群の堅さを守備で出せた。

 -転機となった試合

 僕の中では10個以上あるけど、前半戦のC大阪戦(4月23日、札幌ドーム)で開幕からの好調が偶然ではなかったと手応えを得て、後半戦3戦目の松本戦(7月20日、札幌ドーム)の勝利で自信が深まった。最後、直接的なターニングポイントは、11月の千葉戦じゃないかな。あそこで引き分けや負けていたら、全然違う結果になっていたかもしれない。

 -終盤は緊張したか

 極端に朝4時、5時とか早くに目が覚めて、考えすぎちゃって眠れない。風邪をひいていないのに、空せきやくしゃみが止まらなくなる時が1~2週間はあった。それが、シーズン終了とともにピタッと収まった。そんなにため込むタイプじゃないと思っていたんだけど。トップの監督になってからは、いつも気持ちが晴れない(笑い)。何をやっても、心の底からは楽しくないというか。

 -監督としては初のJ1の舞台。期待する選手や、目指すところは

 全員に期待している。全員が10%ずつレベルアップが必要。並大抵のことではないが、チーム内の競争や戦い方で埋めていけたら。過去の歴史を振り返れば、昇格チームがJ1に残留し続けるのが、どれだけ大変かを認識しないと。クラブがJ1に定着していくために、良いスタートを切りたいなと思っている。【聞き手 中島宙恵】

 ◆昇格チームの翌年J1成績 09年にJ1下位3チームとJ2上位3チームによる自動入れ替えがスタート。12年から現行のJ2年間上位2チームが自動昇格、3~6位プレーオフ勝ち上がり1チームが昇格する方式に替わった。09~15年の昇格21チームのうち、10チームは翌年のJ1で16位以下に沈み1年で降格している。札幌は11年にJ2・3位で昇格したが、12年J1では4勝2分け28敗で最下位の18位に終わり1年で降格した。