日本協会が1日、判定に異議を唱えた選手に暴言を吐いた西村雄一審判員(36)を呼び出し、事情聴取を行うことが4月30日に分かった。同29日の東京-大分戦(味スタ)で、同主審が大分DF上本に対して「うるさい」「死ね」などの暴言を吐いたという証言が複数集まった。事態を重く見た日本協会は、30日中にJリーグを通じて両クラブに選手ら関係者の事情聴取を依頼。さらに西村審判員本人の話を聴いたうえで、何らかの対応をとることになりそうだ。

 波紋は大きく広がっていた。前代未聞の事件から一夜明けた30日。審判員を統括する日本協会の田嶋幸三専務理事は急きょ、広報を通しコメントを発表した。

 「協会としても(状況を)重く考えている。いろいろな調査をし、事情をよく聴いた上で対処したいと思う」。抗議する選手に対して「死ね」と言い放ったというショッキングな報道に、同協会には早朝からファンによる問い合わせもあったという。

 同協会の松崎康弘審判委員長は滞在先の神戸市内で「まずは情報を集めないと。明日(1日)東京で審判委員会を開き、西村主審から話を聴く」と明かした。すでに西村審判員から、電話で事情を聴いたもようだが「まだ一方からしか話を聴いてないから」と詳細は伏せた。ただ、同委員長から報告を受けた協会幹部は「別の言葉を聞き間違えられたフシがあるみたい。松崎くんは『(死ねとは)言ってない』と話していた」と証言。西村審判員は同委員長に対し、現段階では発言を否認しているとみられる。

 選手たちも調査の対象になった。協会はJリーグに協力を求め、当事者である大分と東京の選手、関係者からも情報を収集。東京から空路で地元に戻った大分は、主力は練習免除日だったが、大分市内に選手たち数人を呼び出し、聞き取り調査を行った。西村発言を聞いたと証言している選手を抱える東京も、同様にクラブハウスでヒアリングを行った。

 Jリーグの鬼武健二チェアマン(日本協会副会長)は、映像分析も併用しての徹底調査をほのめかした上で「一刻も早く事実を確認して、きちんとした対応をしたい」と語気を強めた。冷静沈着であるべきの審判員が選手に暴言を吐いた事件は、日本サッカー界を大きく揺るがしている。