7季ぶりJ1を目指す仙台が、第1クール(C)の17試合を消化した。11勝2分け4敗の勝ち点35で、昇格圏内の3位を維持。強豪と連戦した開幕7戦でスタートダッシュに失敗したが「優勝候補」の過信を捨て、理想の攻撃サッカーに固執しない手堅い戦術に転換。昨季と比べて引き分けが4つ減った。30日のアウェー水戸戦(笠松)から始まる第2Cを前に、手倉森誠監督(41)が第1Cを総括した。

 受難の開幕だった。C大阪、湘南など強豪と当たった開幕7戦。いばらの道を連勝街道に―。青写真は3勝1分け3敗に終わった。

 手倉森監督

 開幕と同時に勢いが失われた。本当に残念。去年は(シーズン通して)なかった連敗を喫し(相手の倍のシュート24本を放ちながら)C大阪戦は内容が良くても1-2の逆転負け。序盤の3敗は目を背けられない。悔しいけど、通らなければいけない道だったと思う。

 毎年、周囲から優勝候補と評され、無意識にまん延した「過信」を消すことが再出発への第1歩だった。

 手倉森監督

 我々は過信してた。開幕7連勝を狙って半分しか勝てなかった。これが現実。本物の優勝候補が3勝1分け3敗なんて成績は出さない。周りに踊らされるな、自分たちのすべきことだけを考えろ。そう選手には言いました。

 序盤に味わった痛みが良薬になった。理想の攻撃サッカーにこだわらず「手堅くコントロール」(手倉森監督)して、着実に勝利を狙う意識を徹底させた。

 手倉森監督

 去年は「人もボールも動くサッカー」を表現して、感動を呼べるサッカーを貫いた。でも、J1には届かなかった。勝負のこだわりが足りない。今季の開幕7戦は、去年と同じことを繰り返しそうだった。勝ち点3を優先すれば、内容で圧倒するサッカーはいらない。「理想のサッカーを貫いて、さあ何位になった」じゃなく「何位になるために、こういうサッカーが必要」って意識。痛い思いをして(手堅い戦術を)共通理解できた。

 昨季は17試合で8勝6分け3敗の勝ち点30。手堅くの意識は徐々に浸透し、今季は引き分けが4減った。本当に勝ち切れるチームになったか、真価が問われる第2Cに突入していく。

 手倉森監督

 第1Cで目標の勝ち点「35」を取れてホッとしてる部分はあるけど、途中の7連勝で目標を「40」に引き上げながら届かなかった。満足してないし「40」を取ったチームもある(首位C大阪の41)。だからこそ浮かれず、油断せず第2Cを迎えられる。

 そのために、さらなる精神面の成長が必要となる。

 手倉森監督

 毎年、仙台は中盤に失速してシーズン最後に帳尻を合わせてる。失速する夏の暑さよりも、悔しい思いを去年の入れ替え戦で味わった。第1Cの勝ち方を第2Cも継続して勝ち星を増やしたい。勝ち続けても一気に強くなるわけじゃないし、負けても全部が失われるわけじゃない。メンタルの安定を徹底して戦っていくだけです。【構成・木下淳】