「伝説の試合のレフェリー」が、Jリーグ審判のレベルアップに力を貸す。日本協会のトップ審判インストラクターに就任したアラン・ウィルキー氏(57=英国)が7日、東京・本郷のJFAハウスで会見した。

 元プレミアリーグ主審のウィルキー氏を有名にしたのは95年のマンチェスターU-クリスタルパレス戦。FWカントナが観客に跳び蹴りした「カンフーキック事件」の試合だ。「彼の処分が決まるまで、何度も協会に足を運び、警察の事情聴取も受けた。あの経験は、その後の審判人生にも役立っている」と話した。

 同氏は、Jリーグ審判が外国人選手に弱いという印象を持ち、この日の会見で「海外の選手も同じ選手」と、日本人と外国人の区別なく判定を下す重要性を口にした。フランス代表のエースに対して厳格さを貫いた審判ならではだ。8カ月の出場停止が明けたカントナの復帰戦でも主審を務めたという。「彼のプレーは素晴らしかった。問題児としても素晴らしかったけどね」と言って、笑った。

 日本協会との契約は来季終了まで。「今年中に試合を分析し、来年には成果を見せたい」。伝説の主審は力を込めて言った。