<J1:山形3-1磐田>◇第18節◇19日◇NDスタ

 山形がホーム最多得点を奪い、3-1で磐田に快勝、14位から11位に浮上した。同点とされた直後の前半23分、主将のMF宮沢克行(32)がJ1のリーグ戦で10シーズンぶりとなるゴール。浦和-新潟-山形-新潟-山形と渡り歩いたチーム最年長のゴールが決勝点となり、今季2度目の2連勝とした。

 宮沢が、主将の意地を込めて左足を振り切った。1-1の前半23分、FW北村のシュートが右ポストを直撃。その跳ね返りがゴールほぼ正面、ペナルティーエリアの外に詰めた宮沢のもとへ転がる。「たまたま『打ってください』というのがきた。自分でもビックリするほど、ストレートに打てた」とはにかんだ。

 プロ1年生だった、浦和時代の99年5月8日のデビュー戦以来となるJ1リーグ戦での得点に「名誉な記録じゃないが、ずっと応援し続けてくれる人たちにささげたい」と喜んだ。くしくも相手は、この日と同じ磐田。「縁があるのかな。当時はFWで、チームより個人というガムシャラでした」と、チーム最年長の32歳は目尻にしわを寄せた。

 今年の3月、大雪に見舞われた山形の練習場で、サポーターや報道陣も雪かきをして練習したことがある。練習後に宮沢は、汗で体調を崩すおそれがあるにもかかわらず、1人1人に丁寧にお礼して回った。通訳不在の韓国人MFキムには「寂しいだろうから」と、目配りを忘れない。8戦未勝利とつらい時期にも、率先して個人ブログを更新、サポーターと接触を取り続けた。山形が3クラブ目となる苦労人は「県人ではないけど、気質が変わるもの。山形の良さは、きまじめさとか、ひたむきなところ」と、すっかり山形人だ。

 3年連続の主将を務め、厚い信頼を置く小林監督は「取られた後に、すぐ取り返したのが大きい」と、失点から1分後のゴールに最敬礼だ。「負けたら(開幕戦の勝利が)まぐれとか言われる」と、試合後振り返った宮沢。自分でも珍しいという派手なガッツポーズは、自身のJ1、10年ぶりの得点の喜びではなく、チームをJ1残留に導くという決意の表れだ。【山崎安昭】