巻き返しを図る浦和に、フィンケ監督が待ち焦がれた「初恋の人」が帰ってくる。腰痛で長期離脱していたMF梅崎司(22)が、15日のリーグ再開初戦G大阪戦(万博)で、いきなり先発復帰する可能性が出てきた。11日、さいたま市内で行われた試合形式の練習で主力組の左MFに入ってプレー。持ち味のスピード突破やクロスで得点機を演出し、今季公式戦初出場に向けて猛アピールした。故障前にフィンケ監督が主力候補として評価していた攻撃の切り札。逆転Vへの起爆剤として期待される。

 自分自身にとっての「開幕」が、間近に迫っていることを感じた。ハーフコートを使った11対11のミニゲーム。左MFに入った梅崎は「体も頭もついて行けている」と自覚した。腕を高々と上げなくても、大声を出さなくても、相手DFの裏に飛び込めば味方のパスが飛んでくる。ドリブルでゴール前に何度も切り込んで、シュート。今季公式戦初出場へ、機は熟した。

 攻撃の核として周囲の期待も高かった今シーズン。だが、開幕目前の3月に腰痛を患った。骨が神経を圧迫して痛みが臀部(でんぶ)に及び、日常生活で座ることすら困難に。前半戦を棒に振ることを覚悟し、同下旬に手術した。「これまで腰痛で苦しんだことがなかったし、ここまでサッカーから離れたのも初めてだった」。約4カ月間、8月中の復帰を目指し、つらいリハビリを乗り越えてきた。

 故障前の春季キャンプでフィンケ監督は、梅崎の突破力と正確なキック、トップ下でのゲームメーク力を評価。手術は指揮官にとっても、早期復帰にかけた苦渋の決断だったが、7月中旬に梅崎がチーム練習に部分合流すると「(今回の)リーグ中断明けから梅崎が戻ってくる」と喜びを口にしたほど期待は大きい。

 首位鹿島を勝ち点10差で追う浦和は、7月15日のナビスコ杯準々決勝清水戦第1戦以来、公式戦390分間ノーゴール。「攻撃的に、挑発的に仕掛けたい」。攻撃陣の再活性化と逆転Vへ。頭髪を金色に染めて自らを奮い立たせた「フィンケの初恋ドリブラー」が、いよいよ戦線復帰する。【山下健二郎】