浦和の信藤健仁(しんとう・かつよし)チームダイレクター(TD=49)が、成績不振を理由に今季限りで辞任する意向であることが15日、分かった。昨年12月に2年契約で就任したが、フィンケ監督と強化方針について十分な意思疎通を図れず、チームも夏場にリーグ戦7連敗で失速し、現在8位と苦戦を強いられている。後任にはゼネラルマネジャー(GM)として、浦和OBで現サッカー解説者の柱谷幸一氏(48)が有力候補に挙がっている。

 信藤TDは、フィンケ監督の来季続投が確実となった10月下旬以降、周囲に「ファンを落胆させる成績になって申し訳ない。クラブの発展のためにも覚悟を決めている」と契約を1年残しながら今季限りで辞任する考えを示唆していた。昨季終盤、本来ならばTDの構想が重視される監督人事を旧経営陣主導で行ったため、監督と信頼関係を構築できず、戦力補強を含めて有効な改善策を打ち出せなかった。ナビスコ杯、天皇杯ともに敗退し、2季連続の無冠が濃厚な状況に、強化部門の総責任者としてけじめをつけるようだ。

 既にクラブ側は後任人事に着手しており、J創成期の92~94年に浦和でプレーした柱谷氏をGMの有力候補に考えている。同氏は京都監督時代の05年にJ2で優勝し、翌年も引き続きJ1で指揮。昨季は栃木をJFL2位に導いてJ2へ昇格させるなど、指導者としての実績がある。さらに、監督業をこなしながら選手補強や育成、普及といったGMの役割を兼務した経験に注目している。

 浦和の強化部門は今後、シーズン終了まで、信藤TDとともに橋本社長が選手の契約交渉などの陣頭指揮を執り、年明けから新GMを加えた体制でスタートする方針。上位陣の結果次第では、次節21日の磐田戦(埼玉)にも数字上の優勝が消滅する浦和。11年アジア・チャンピオンズリーグ出場圏内の来季リーグ3位以上を達成するため、チーム強化の抜本的な改革を断行する。