<J1:鹿島5-1G大阪>◇第33節◇28日◇カシマ

 最大勝ち点19差から、奇跡のVを狙ったG大阪が、壮絶に散った。首位鹿島との大一番で1-5。DF加地、中沢、山口ら守備陣3人がそれぞれ右足首痛を抱えながら強行出場したが、今季最多失点で4季ぶりのリーグ制覇は消滅した。しかし、3位が確定し来季アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権を獲得。西野朗監督(54)9シーズン目の来季、この悔しさを晴らす。

 傷ついた足が動かない。あと半歩…。後半11分。鹿島FW興梠の切り返しに、中沢がついていけず、先制点を許した。同17分。1点差に迫った直後、加地のスライディングが届かずクロスを上げられ、中央にいた中沢と山口の2人まで興梠の速さに対応できず3点目を許した。その後も次々ゴールを許し、今季最多5失点で夢は散った。

 中沢、加地、山口は右足首痛を抱えていた。患部をテーピングで固定、痛み止めの注射まで打った。交代の際、涙を流した中沢は「加地君も(山口)智さんも精いっぱいやったと思う。やることをやって負けた。完敗です」。山口も「ボクらの力不足です」と言い訳はしなかった。

 奇跡は起こらなかった。一時は鹿島に勝ち点19差まで離されたが、後半戦を10勝4分け1敗で猛追。勝てば得失点差で鹿島を逆転する大一番に持ち込んだ。勝ち点19差を引っ繰り返した例はない-。Jの歴史に挑んだ戦いだった。

 来季のACL出場権は確保したが無念さと、自分たちへの怒りが先に立つ。西野監督は「(ACLは)転がってきたもの。それを目標にやってきたわけじゃない」と言った。西野体制9年目の来季に雪辱を果たすしかない。【益子浩一】