【グアム23日=山崎安昭】悪魔が来たりて…体が悲鳴を上げた!

 1次キャンプ2日目のこの日、J1仙台が午前午後の2部トレを開始。今季就任の李昌■フィジカルコーチ(PC=36)が用意した強化メニューに、選手が音を上げた。韓国Kリーグの水原三星時代に「悪魔」と呼ばれるほど厳しい練習を課した同コーチ。J1シーズンを乗り切るための体作りが、早くも本格化した。

 気温33度の下で行われた午前トレ。突然、イレブンが隊列を組み、腰を浮かせた「ほふく前進」を開始した。約20メートル先のゴールを目指し、ひじをすりむきながら前進。苦悶(くもん)の表情を浮かべる選手を満足そうに眺めながら、李PCは笑顔で言葉を浴びせた。「きついの当たり前~。ここを頑張るから強くなる~」。気の抜けそうな関西弁が青空に消えていった。

 筋肉への負担を考え、こまめな水分補給が「常識」とされる日本式とは違い、厳しい練習を1時間ぶっ通しで課し、ようやく1回目の給水を与えた李PC。水原三星時代に指導を受けたDF朴は「兵役よりきつい。厳しい人で有名だった」と明かした。

 選手から「悪魔と呼ばれていた」(朴)という李PCだが、理論の裏付けはある。若いころ「鍛えて、どう体を動かせるか理論を勉強したかった」という勉強家は、韓国を離れ日本の大学へ進学した。04年のA3杯では水原三星の優勝に貢献。休息なく1時間半、のべ50種目を課したのは、もちろん“名刺代わり”の単なるシゴキではない。

 「90分走れるがパワーに欠けている」と分析する手倉森監督が、フィジカルトレーニングに定評のある韓国人コーチを求めていた。初体験のK式トレに「見てても、きついの分かるでしょ」(FW中島)「足の感覚がまるでない」(MF菅井)と、選手も声を出すのがやっと。午後トレでは、ボールを使い選手を油断させておいて?

 締めは人を背負いながらの100メートルダッシュ。最後まで「悪魔」は手を緩めなかった。

 「鬼軍曹」こと高木PCが昨季限りで去ったと思ったら今度は…。だが、現れた悪魔についていけば、当たり負けしない体をイレブンが、必ずや手にするはずだ。

 ※■は火へんに華