J1仙台FW平瀬智行(32)が、4日のホーム鹿島戦(宮城ス)で古巣からの初ゴールを狙う。骨折した左手首の手術や腰痛のリハビリで戦列を離れていたが、今季初のベンチ入りが濃厚。過去の鹿島戦で果たせなかった恩返し弾を決める。同じく元鹿島のFW中島裕希(25)も、J1初ゴールを古巣から奪う決意だ。

 誰よりも、鹿島戦にかける思いは強い。王者を迎え撃つ一戦を前に「ホント楽しみだね。いい思い出ばかりのクラブだったし、特別な感情がわき出てくる」と平瀬。照準に定めるのは、古巣からの初ゴールだ。横浜、神戸時代に過去7度、鹿島と対戦しているが1度も得点はない。出場停止や負傷離脱など出場自体も少なかった。それだけに「今度こそ、知ってるヤツらの前で頑張ってる姿を見せたい」と武者震いした。

 鹿島イレブンとは04年の退団後も連絡を取っている。「たまに電話が来るんだよ。(小笠原)満男とか(中田)浩二とか本山とかね」。今週はMF野沢から「ヒラさん、もちろん(4日は)出るんすよね?」と電話が来た。平瀬は「オレと同じように、向こうも対戦を楽しみにしてくれてるし」と出場を熱望した。

 その古巣戦で今季初のベンチ入りが濃厚だ。負傷に苦しんだが、間に合った。昨年12月に骨折した左手首を手術し、2月のキャンプはリハビリに専念。3月上旬に合流したものの、今度はノロウイルスの感染に見舞われた。さらに腰痛も患ったが、この日の紅白戦2本目で主力組に復帰し「再発を恐れずプレーするよ」と約束した。

 元鹿島の先輩、手倉森監督も「昔いたクラブを相手にすれば誰だってパワーが出るはず。その力を引き出したい」と期待する一戦。00年に3冠に輝くなど鹿島の黄金期を支えた平瀬が、かつて栄光を教えてくれたビッグクラブから、恩返しと健在アピールの1発を奪う。【木下淳】