鹿島の韓国代表DFイ・ジョンス(李正秀、30)がカタールのアルサードへ完全移籍することが決定的となった。21日に正式オファーが鹿島に届き、交渉を開始。アルサードは鹿島の倍以上の2億円近い年俸と、複数年契約を提示しているもよう。契約途中で移籍する際に発生する違約金も払う姿勢を示している。イも移籍に前向きとみられ、クラブ間合意に達すれば22日にも正式決定することになる。

 W杯南アフリカ大会でイは、DFながら2得点を挙げて韓国を決勝トーナメント進出に導いた。W杯後に中東の複数クラブから打診があり、正式オファーに発展したアルサードへの移籍が現実的になった。鹿島とイの間には設定された違約金が支払われる場合、移籍を認めざるをえない契約条項がある。鹿島は懸命に慰留したが、違約金を容易に準備できる「オイルマネー」の前に太刀打ちできない状況に追い込まれた。

 リーグ4連覇を狙う鹿島にとって、オリベイラ監督の希望で今季獲得し、定位置を確保していたイのシーズン途中での移籍は大打撃。センターバック(CB)は昨季の主力DF伊野波が日本代表DF岩政とコンビを組むことになるが、厳しい日程を乗り越えるためにCBの選手層の厚さは必要不可欠だからだ。

 この日、鹿島のクラブ幹部がイ本人、その代理人と会談の場を持ち、アルサードとは文書でのやりとりを行い、移籍決定は間近となった。今年2月1日から来年1月31日までの契約期間を半分残し、イは鹿島を去ることが濃厚となった。