札幌に“グローバル補強”プランが11月30日、浮上した。札幌・宮の沢で行われたこの日の練習からナイジェリアのオバンテ・フットボールアカデミー出身のDFアグー(20)とFWオヒク(19)が合流。4日まで帯同することが発表された。クラブでは現在、強化担当者が南米各国を視察し戦力を調査中。ブラジルだけでなくコストパフォーマンスの高い選手を幅広くリサーチし、世界をまたにかけた補強戦略につなげていく構えだ。

 札幌が世界の才能をくまなく探し集め、“多国籍クラブ”への変ぼうを目指す。チームでは過去、南米やアジア、欧州など14カ国から選手を獲得してきた。クラブ関係者は将来像として「ブラジルの選手は年俸も高くなりつつある。それ以外の国も考えていきたい」と話しており、本格的なグローバル補強に踏み出す方針だ。

 早速、この日からはナイジェリア人のアグー、オクヒの2人が練習に参加した。あいにくの積雪でランニングだけになったが「寒いけど美しい景色だ」とアグー。オクヒは「今日は走るだけでアピールできなかった。明日からは気持ち、パススピードの速さ、粘り強いマークでアピールしたい」と意気込んだ。

 アフリカ人練習生は08年にガーナ人のFWソロモン、ゴッドフレッドの2選手が帯同して以来2例目だが、同国からは初めて。10月に代理人を通して、練習参加を打診された。ビザ取得の影響で11月にずれこんだが関係者は「パフォーマンスが良ければ獲得ということも、ない話ではない」と慎重に見極める。

 現在、三上大勝強化部長(39)は助っ人選手調査のため南米各国を訪問中。昨季はコロンビアから初めてMFダニルソン(現名古屋)、韓国から趙晟桓(現Kリーグ全北)を獲得するなど新市場を開拓してきた。強化費は今季から1億5000万円程度削減され3億円前後になるもよう。そのため同部長もブラジル路線だけでなくコロンビア、エクアドルなど低コストで補強可能な選手の情報も収集しているとみられる。南米だけでなく今回のケースのようにアフリカ、アジア系も当然、補強候補にする。

 アグーの友人にはW杯日韓大会ナイジェリア代表のMFガルバ・ラワル氏(36)がいる。「自分もここで契約を勝ち取ってスターを目指したい」。加入となれば札幌では15カ国目の選手。低予算で勝てるクラブをつくるため、札幌が地道な世界戦略をしかけていく。