J2札幌のFW中山雅史(43)が、4カ月ぶりに実戦復帰する。熊本キャンプ中のチームは17日、J2熊本と練習試合を行う。今キャンプ初日に完全合流したFW中山にとって昨年10月の札大GPとの練習試合以来の実戦。同11月には両膝を手術しており、回復状況の確認も含めた“テスト走”となる。2季連続無得点に終わったJ最多157発男が、復活への大事な一歩を踏み出す。

 Jリーグ18シーズン目を迎える鉄人が、手術した両膝の“実地訓練”に乗り出す。16日の練習を終えた中山は今季初の練習試合を前に「調子はまあまあですね。痛みはそれなりにありますよ。その中でどれだけチームに絡んでいけるか」と意気込んだ。熊本入りした12日に完全合流。やや出遅れはしたが、ようやくたどりついた4カ月ぶりの“リング”だ。熊本戦では本格的な肉弾戦の中で、耐久性チェックにとりかかる。

 古辺フィジカルコーチも練習試合の出場について「ゴンさんのコンディションはもう問題ない」と太鼓判を押す。ただ、43歳以上の現役選手は横浜FCカズとゴンしかいないという超人的領域だ。さらに手術明けのシーズン。ゴン自身も慎重で「やっぱり両膝の状況は、しっかり確認しながら臨みたい」と話した。開幕へ向けたスムーズな“離陸”につなげるためにも今回の熊本戦での動き、翌日のリバウンドなど、すべてが重要なカルテとなる。

 熊本に入りアイシングの方法も変えた。ビニール袋に四角い氷をつめる形から、密封性の高い氷のうに冷水を入れるスタイルにした。「袋が破れて水漏れすることがないというので」。昨季は期待を受けながらノーゴールに終わった。「前に進むために」と受けた手術の成果も見せたい。復活にかけるすべての思いが、細やかな気配りにつながっている。

 熊本は98年に3戦連続ハットトリックを達成した地。昨年5月の熊本戦で放ったヘディングシュートがゴール数10センチ右に外れるという際どいシーンも。「場所に関してはまあ、いいんじゃない」と無関心だったが、ゴン伝説再スタートを告げるにはもってこいの舞台でもある。この日、セットプレーの確認でも左CKを豪快に頭で合わせシュートを放った。体勢を崩しボールは斜め後ろに飛んだが、抜け出すタイミングはどんぴしゃ。ゴン復活の兆しは見えている。【永野高輔】