J2札幌の新旧攻撃陣が融合した。熊本キャンプ中のチームは17日、J2熊本と45分3本の練習試合を行い、主力組で臨んだ2本目までは2-1とリードした。1点目は右CKから新加入DF山下達也(23)が頭で折り返し、最後はFW内村圭宏(26)がゴール。2点目は新外国人MFブルーノ(26)の左クロスをMF宮沢裕樹(21)が押し込むなど、新戦力と既存選手との歯車が急速にかみ合ってきた。

 札幌の攻撃陣が鮮やかな化学反応を起こし始めた。まずは1本目の31分、MF古田の右CKをDF山下が折り返し、最後は内村が頭でねじ込んだ。「とくに狙ったわけではないけど、いいところに山下さんが入ってくれていた」と古田。昨季チーム得点トップタイ5得点の古田、内村と新加入の山下の連係で生まれた理想的な先制点だった。

 2本目の12分にはMF砂川からパスを受けたブルーノが魅せた。左サイドからファーサイドへふわりと浮かせたクロスにMF宮沢が頭から飛び込み2点目を奪った。「いいボールが出せて良かった。でも自分の力はまだまだこれから。もっとチャンスをつくってくよ」。2日の大宮戦でも先制点の起点をつくった新助っ人が、期待通りのプレーでアピールした。

 石崎監督も手応えを感じ取っている。「1点目は古田のキックもうまかったけど山下の高さも生きた。2点目はきれいだった。スナの前の芳賀もいい判断をした。ブルーノもいいところに走っていた。練習していた形が出た」。5日の柏戦ではショートカウンターと右クロスから各1点、今回はセットプレーと左サイドから各1得点と、攻撃の形が徐々に見え始めた。

 特に指揮官は攻撃に関して「既存の選手と新戦力がどう絡めるかがカギになる」と話しており、新戦力との連係で生まれた2点は大きな収穫材料だ。しかも昨季1点も奪えなかったCKからもゴール。「そんなに練習していないのによく決まったよね」と思わぬ副産物に驚いていた。

 MF古田は「山下さんがくさびのボールを狙ってくれている。もっと受けられるような位置に動けるようにできれば」と、さらなる連係強化を掲げた。新戦力の特長がチームに伝わり、小さかった歯車が大きなエンジンとして躍動し始めた。開幕前の実戦チャンスは残り2回。主力大量流出で崩壊しかけたチームに、再生の兆しが見えてきた。【永野高輔】