J2札幌のDF岩沼俊介(22)が“佑等生プレー”で2季連続の開幕スタメンを確定させる。熊本キャンプ中のチームは今日22日、仙台と宮崎市内で練習試合を行う。岩沼も先発予定で、石崎信弘監督(52)からこの日、ノーミスでのプレーを期待された。日本ハム斎藤佑樹と同郷で同学年の左サイドバックは、得意のクロスでゴールも演出し、開幕切符を手に入れる。

 岩沼が指揮官の期待に満点解答で応える。仙台戦前日となった21日、石崎監督は「シュン(岩沼)はミスをしない選手だよ。チームで一番、計算ができる選手になったね」とほめちぎった。攻守の起点として責任感をうながすため、あえてノーミスプレーが当然であるかのような厳しいノルマを課した。

 岩沼も自覚は十分だ。まずは攻撃で魅せる。「前線は、内村さんや(高木)純平さんらスピードのある選手が多い。ハイボールよりも足元へのグラウンダーのクロスで得点に絡めれば」。仙台戦での狙いの1つは積極的な攻撃参加からゴール前に低く速いボールを送り込むこと。故郷群馬県赤城山方面から吹き下ろす冷たい突風“赤城おろし”のごとく、鋭くGKとDFの間を切り裂くイメージの必殺クロスだ。

 DFラインからのビルドアップでも大事な役割を担う。石崎監督は「(センターバックの)河合にはシュンに預けろと言っている。ボールを持てば仕事をするから。そこを起点とする形ができてきたから」と言った。自ら攻撃の起点となり、最後はタッチライン沿いを駆け上がり“赤城おろしクロス”。この一連の形を11年札幌の新兵器とする。

 当然、守備の確認にも力を入れる。仙台攻撃陣には鹿島から移籍したFWマルキーニョス、元日本代表の柳沢、2列目にはA代表経験のある関口など実力あるメンバーがそろう。貴重なテストマッチだけに「高いレベルの選手が多いので、抑えられれば自信になる」と意欲を見せた。

 同郷同学年の日本ハム斎藤佑樹の存在も刺激になっている。面識はないが共通の友人がいる間柄だ。佑ちゃんのような注目度アップは今後に期待だが、今や石崎監督が「代わりがいない」というほどの立場に成長した。少しずつ輝きを増す22歳が、札幌の左サイドを彩っていく。【永野高輔】