J2札幌の新外国人MFアンドレジーニョ(26)が、“ぶっつけ本番”で3月5日の開幕戦に臨むことになった。右内転筋痛により、開幕前最後の実戦となる26日の大分戦を欠場することが23日、確定した。グアムキャンプで負傷したが回復が思わしくなく、この日からようやく本格的なランニングを開始した。熊本合宿では1度も実戦に参加できないまま、開幕を迎えざるを得なくなった。

 5日に柏との練習試合で右内転筋肉離れを起こしてからすでに18日が経過した。アンドレジーニョは熊本合宿から始まった本格的な攻撃練習には、まったく加わっていない。石崎監督も26日の大分戦について「試合に出られるようなケガじゃないじゃろ」と出場は無理と判断した。本人も「次の試合は間に合わないが、とにかく開幕に合わせる」と、直前の実戦抜きでリーグ本番に照準を合わせることになった。

 攻撃の軸と期待された助っ人の復帰が、予想以上に遅れてしまった。前線から連動した守備を求める石崎監督としては、トップ下候補のアンドレジーニョにも組織的な追い込み方をたたき込みたかった。「実戦で出た課題をトレーニングで改善して次の試合で試す。それがワシのやり方じゃから」。大分戦欠場が確定したことで、アンドレジーニョを試すことも、課題を見つけ出すこともできない。

 グアムキャンプ中に期待されていた1トップ内村との「ウンアン」コンビにも暗雲が立ちこめてきた。2人が競演したのは2日の大宮戦と5日の柏戦のみ。突破力のあるアンドレジーニョと速さのある内村の相性は上々で、石崎監督も「あの2人は面白いね」と評価していたが、連係を磨き上げるはずの熊本での実戦チャンスはなくなった。

 今後は数日のランニングメニューを経て、来週3月1日前後の完全合流を予定している。そこから開幕までは1週間弱。連係面の不安は否定できないが、アンドレジーニョは「今は監督の要求に応えられるよう運動量を上げていくだけ」と全力で調整に励む覚悟だ。ブラジル人選手は、01年得点王のFWウィルのようにキャンプでは不調も本番で結果を出すタイプもいる。アンドレジーニョ個人の爆発力に望みをかけるしかない。【永野高輔】