<東日本大震災復興支援Jスペシャルマッチ:JリーグTEAM

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 ONE4-0Jリーグ選抜>◇21日◇カシマ

 復興への光となる4発が生まれた。元イタリア代表FWアレッサンドロ・デルピエロ(37)が先発。JリーグTEAM

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 ONE(J被災地選抜)の一員として、Jリーグ選抜と対戦しトラップ、キック、シュートで観客を魅了した。後半25分には左足ミドルで「復興弾」を決めて76分間プレー。勝利に大きく貢献した。

 復興のためにやってきたデルピエロが光を差し込んだ。後半25分。左足で振り切った25メートルミドル弾を、ゴール左に決めた。先発出場し同31分に退くまで、その力を発揮。前半4分に左足でふわりと浮かせたボールは、相手DF中沢の頭をかすめるように抜けFW柳沢につなげた。同17分には吸い付くような胸トラップ。同24分の直接FKの場面では「デルピエロコール」を背に受けた。同30分のミスキックだってご愛嬌(あいきょう)。一挙手一投足にスタンドが沸いた。

 約12時間のフライトで来日し、直後の前日練習でミニゲーム。だが、それだけでは飽き足らなかった。Jリーグ関係者によれば、自身が契約する「ファーストトレーナー」を同行させ体調管理。本人の強い要望で、24時間トレーニングができるジムが設置されたホテルに宿泊した。「ここに呼んでいただいたことが大変うれしい。あまり多くプレーはできなかったけど、たくさんのパワーを与えられたんじゃないかなと思う」。長距離移動による疲労や時差ぼけを解消するため、時間帯を問わず試合のための準備を怠らなかった。それほどの思いだった。

 後半13分には手倉森監督から交代を問われたが、手を横に振り続行を志願。少しでも長い時間、ピッチに立ち続けることに意味があった。親日家として知られるルーツは「小学生のとき地理の授業で先生から『好きな国を選んで』と言われて、なぜか日本を選んだ。選手になってトヨタ杯(現クラブW杯)で来て勝ったりして、特別な関係が続いている」と日本への思いを打ち明ける。この日、この場所でプレーしたことが何よりの証しだった。

 1年4カ月前、テレビで見た悲惨な映像に心を痛めた。「日本のみなさんに『ガンバッテ』と言いたい。また日本に戻ってくる」とデルピエロ。復興への足跡を日本の地で、しっかりと残した。【栗田成芳】