<Fリーグ:神戸3-1湘南>◇第15節◇22日◇グリーンアリーナ神戸

 上咽頭がんで闘病生活を送ってきた神戸の元日本代表、鈴村拓也(35)が奇跡的な復活を遂げた。湘南戦に先発出場。昨年12月にがんの告知を受けて以来、9カ月半ぶりに復帰した。発病前と同様に計40分のうち半分以上の時間をプレー。神戸は残り1分で執念の2得点を挙げ、5試合ぶり勝利を飾った。

 抗がん剤と放射線治療の副作用で、今でも唾液がほとんど出ず、口の中は荒れたまま。それでも闘志あふれる姿を見せた鈴村は「これはゴールではなくスタート」と言い、再発の恐怖についても「考えないようにしている。考えても僕には再発は防げない。完治する(5年後)までプレーを続けたい」。支えてきた妻篤子さんは「生きて、この場所に戻って来ることができて良かった」と涙をためた。大病を患ったプロ選手では、サッカーのフランス代表DFアビダル(34=モナコ)が肝臓腫瘍の摘出後に復帰した例がある。【益子浩一】