Jリーグが、スポーツ界の社長やGMなどの人材育成に本格的に乗り出す。30日、東京・JFAハウスで人材育成事業「Jリーグヒューマンキャピタル(JHC)」の概要を発表した。立命館大と提携し、50人を公募。志願者は1年目に講義を受け、2年目に5人前後に絞り込まれてJクラブなどで実地研修。3年目からはJリーグなどのスポーツ界の各企業に就職する。村井満チェアマン(55)も選考面接に臨む予定で、将来、トップに立てる人材を本気で育て上げる。

 Jリーグが人気テレビゲーム「サカつく」ならぬ、「シャチョつく」に乗り出す。村井チェアマンは「Jリーグが本格的にスポーツ経営の人材を育てる。Jクラブからではなく、一般社会から人材を集める。強い意志を持つ人を選びたい」と話した。

 2月14日に公募を始め、5月に第1期生の講義がスタートする。50人の枠を設定し、応募多数の場合は書類選考後に、面接が行われるが「最終面接は私が行う。チェアマンが出ることで、いかに本気かを伝えたい」と意気込む。

 受講者は1年目に立命館大提供のリーダーシップ論やスポーツマーケティング論、Jリーグ提供のプロサッカークラブマネジメント論などの講義に臨む。「優秀な人材の確保は難しいが、5人くらいが進んでくれれば」と言う2年目は、Jクラブなどに有期雇用されて現場で実地研修を積む。

 リクルート社で人事畑を歩いてきた村井チェアマンが望む「経営者候補」の人物像は「スポーツビジネスの夢をしっかり持ち、起きた事象を論理的に説明でき、行動力、失敗にめげない胆力がある人」と言う。さらに、国際的なコミュニケーション能力も必要だ。

 2年目の実地研修を終えれば、3年目以降は個々でキャリア相談をした上で、JリーグやJクラブ、他競技団体などに就職する。Jリーグにとってはサッカー界の人材育成だけでなく、スポーツ界への人材供給という側面での貢献を目指す。「20年東京五輪に向け、スポーツ界で多くの人材が必要とされる。スポーツ界に一生をかけるというくらいの人材にきてほしい」。村井チェアマンは日本スポーツ界では異例となる試みへの情熱を口にした。【菅家大輔】

 ◆JHCの募集概要

 2月14日に講座説明会が東京・JFAハウスで行われる。その後、専用サイト上で出願受け付けがスタート。対象は、プロスポーツビジネスに関心のある社会人。第1次審査(書類選考)の後、3月下旬に第2次審査(面接)を行った上で、4月上旬に結果が発表される予定だ。講座説明会への参加は専用サイト(www.jhc-ritsumei.jp)より申し込み受け付け。合格した第1期生の1年目の講義は5月~16年2月にかけて、立命館東京キャンパスやJFAハウスなどで行われる。1年目の受講料は30万円で91コマ。問い合わせ先はJリーグ・立命館「JHC教育・研修コース」事務局。【電話】075・813・8166。