天国のマツさん、しっかり見ていてくれ-。横浜MF中村俊輔(33)が、4日に急性心筋梗塞で亡くなった元日本代表DFの松田直樹さん(享年34)へ優勝を誓った。「下を向いてメソメソするんじゃなく」と気持ちを切り替えた。死去から一夜明けた5日、チームは練習前に選手、スタッフ全員で黙とう。背番号「3」の永久欠番設定も視野に入れている。敵地で行われる2位柏との首位攻防戦の勝利も、天国へ届ける。
俊輔の目に、もう涙はなかった。前日4日に亡くなった松田さんを訪ねた時には涙ながらに故人への思いを語っていたが、この日は柔らかな笑顔も見られた。目の前の試合に集中するため、多くの選手が、あえて口を閉ざす中、俊輔は「マツさんが見てくれている」と話した。突然の悲報にも下を向かず、いつも通りのプレーをして最終的に優勝を届けることを誓った。
自身が海外で経験したことを思い出していた。セルティック在籍時にチームのコーチががんで亡くなると、本拠地から棺(ひつぎ)が運ばれ、その後ろに行列が続く壮大な葬儀を目の当たりにした。エスパニョール時代には、遠征中に亡くなったDFハルケを追悼するため、試合中にハルケの背番号「21」にちなんで前半21分からの1分間、サポーターは拍手し続けるという。
俊輔は「亡くなった後どうすべきかを見てきた」と話す。サポーターや選手が、その選手を一生忘れないようにするため。ホーム試合で松田さんのかつての姿を映像で流すことなど、俊輔にもアイデアはある。クラブの取り組みとしては背番号「3」を欠番にすることも検討。それでも「一番は優勝だから」と勝利こそが強固な思い出になると信じている。
今日6日はアウェーでの柏戦。敗れれば首位陥落となる大事な一戦だ。睡眠や調整について、いつもと違う日々を過ごした。俊輔は「試合をやる状態じゃないかもしれないけれど、言い訳にしたくない。マツさんが嫌がると思うから」と引き締まった表情で話した。他のメンバーも試合に向けて気持ちを整えていた。チームバスへ乗り込む俊輔の足取りは力強く見えた。【加納慎也】



