<J1:仙台0-0川崎F>◇第30節◇22日◇ユアスタ
ACL(アジアチャンピオンズリーグ)出場へ、仙台が貴重な勝ち点1を積み上げた。東日本大震災後の4月23日、J再開戦で戦った川崎Fを迎えての再戦はドロー。前回ケガで出場できなかったFW柳沢敦主将(34)がスタメンで盛り上げ、MF富田晋伍(25)が絶体絶命のピンチを左足1本で止めた。これで4位横浜との勝ち点差は1となった。
執念でACLへ望みをつないだ。その象徴が前半14分。CKからカウンターを受ける。ペナルティーエリア右から川崎FのMF中村が仙台GK林と1対1に。日本代表でも司令塔を務める中村は冷静にゴール左隅を狙った。手倉森誠監督(43)は「(林)卓人の脇をボールが通り過ぎた時、失点を覚悟した。そしたらなぜかボールがはね返っていた。小さい選手が頑張って戻っていた」。富田が間一髪、戻っていたのだ。身長169センチの小さな体を投げ出し、左足1本でチームを救った。ユアスタをこの日、一番の歓声が包んだ。
富田と林との完璧な危機管理がビッグプレーを生んだ。富田が「卓人さんがはっきりと出てチャレンジしてくれたんで、僕はゴールマウスに入ろうと思った」と言えば、林は「富田がカバーに入っていることは分かっていた。だから思いっきり前に出られた」。
震災後のJ再開戦と同じ相手と半年ぶりに再戦した。前回もデーゲームの雨だった。4月12日に左膝を手術し、前回はメンバー入りできなかった柳沢は感慨深げに言った。「試合後、サポーター同士がエール交換していた。ものすごく良い光景で、あの時と同じ雰囲気だった。これからもサッカーができることに感謝し、やっていきたい」。
手倉森監督ももう1度「希望の光」となる意思を再確認した。20日、楽天の今季最終戦を観戦した。「ともに被災地のために戦った楽天の最後を見届けたかった」。新人塩見投手の勝利で幕を閉じた瞬間「ベガルタがACLに出て被災地を盛り上げたい」とあらためて誓った。
7連勝はならなかったが、これで9戦負けなし。柳沢は「調子が良かった川崎Fに負けなかったことが大事。鹿島の時もそうだった。もちろんACLも優勝も狙う」。主将の目は本気だった。【三須一紀】



