王者パリ・サンジェルマン(フランス)が、2季連続3度目の決勝進出を決めた。アウェーでバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)と1-1で引き分け、2戦合計6-5で制した。Bミュンヘンの日本代表DF伊藤洋輝(26)は、ベンチ入りしたが出番はなかった。パリSGは、初優勝を目指すアーセナル(イングランド)を相手に5月30日(日本時間31日)、ハンガリー・ブダペストで決勝を戦う。

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電光石火のカウンターが勝負を決めた。

開始2分20秒でパリSGが先制した。立役者はジョージア代表FWの25歳クビチャ・クバラツヘリア。

自陣からワンツーで抜け出すと、左サイドを一気にドリブルで持ち込み正確なラストパスをデンベレに送る。豪快な左足シュートが決まった。

完璧な崩しでアシストを記録した。結果的に1-1のドローで試合を終えたがだけに、この1点が2戦合計の決勝点となった。

「すごく早くゴールが決まったことは本当に重要だった。デンベレがフリーになっているのが見えた。素晴らしいフィニッシュを決めてくれた」

得点場面だけでなく、切れ味鋭いドリブルで猛者がそろうBミュンヘンの守備網を切り裂いた。かつてエムバペが背負った7番を付け、チーム最多のCL10得点6アシストを記録する攻撃の切り札。2連覇に向け、勢いは止まらない。

両チームには、今夏のワールドカップ(W杯)北中米大会を戦うスター選手が顔をそろえた。そんな中にあってクバラツヘリアはW杯で見られない最大のスター選手と言っていい。

ジョージア代表はFIFAランキング72位。欧州予選E組ではW杯に出場するスペイン、トルコらと同組となり、1勝5敗とあえなく散った。

国土の面積は日本の約5分の1、人口約380万人という小国ジョージアの出身。91年に独立するまで旧ソ連の一部で、15年まではロシア語読みの「グルジア」だった。黒海とカスピ海に挟まれ、自然豊かでワインが有名な国だ。その首都クラブ「ディナモ・トリビシ」のアカデミーで育った。

10代はロシア1部のルビン・カザンなどで武者修行。そして21歳だった22年7月にセリエAの古豪ナポリへ加入すると、無名のウインガーは一気にスターダムへと駆け上がった。

1年目の22-23年に12得点10アシストと大活躍。マラドーナを擁した90年以来33年ぶりのリーグ優勝をもたらし、年間MVPまで獲得した。

付いた異名は「クバラツドーナ」。分かっていても止められない。ドリブルを武器にチャンスを次々と生み出した。

25年1月に110億円超の移籍金でエムバペの後釜としてパリへ渡るといきなり欧州CL制覇に貢献した。現在の移籍市場では、世界21位タイの9000万ユーロ(約165億円)までつり上がっている。

今回の準決勝を前にした会見で、その異名について問われた。

「マラドーナと比較されることはいつだってうれしいし光栄だ」

そのマラドーナはアルゼンチン代表のエースとしてW杯に4度出場。優勝1回、準優勝1回という華やかな実績を積み上げた。しかしクバラツヘリアにW杯という舞台はない。出生国は選べない、今どきふうに言えば「国ガチャ」ゆえに。

それでも欧州CL2連覇という大きな舞台が目の前に広がっている。

「決勝に向けて準備を整えなければならない。決勝は人生最高の試合であり、このクラブのために全力を尽くしたい」と誓った。