一発回答で来季契約第1号だ!

 J2札幌DF岡山一成(33)が6日、札幌市内のクラブ事務所で1回目の契約更改交渉に臨み、現状維持の年俸500万円の提示を受け、いきなりサインした。7月にセンターバックとして途中加入。出場は5試合にとどまったが、クラブはピッチ外での盛り上げ役としても評価した。12年新体制に向け、初の契約更改選手となった。(金額はいずれも推定)

 岡山が速攻で決めた。1回目の条件提示から、複数回の交渉を経て決着をつける通例を、チーム一のムードメーカーが打ち破った。「早く判を押さんと、あとで三上さんの気が変わったら困りますからねぇ」。事前に契約書を入れる茶封筒に「きれいに押せるように」と印鑑の試し押し。「少し考えなくていいのか」と心配する三上強化部長の前でドン!

 ワン、ツー、スリーと完璧な流れで契約1号となった。

 札幌愛を態度で示した。「1発サインは、サッカー人生で初めてです」。横浜2年目の契約更改交渉の際、年俸240万円から1200万円の大幅アップ提示を受けながら保留した。「あの時、クラブの人に『お前は何を考えとるんや』と言われたのを思い出した。今は来季のキャストに入れてもらったこと自体に感謝している。判を押したい。その一心だったので」。現状維持の提示ながら、5年ぶりにJ1の舞台に戻れる喜びに勝るものはなかった。

 クラブ側も粋な判断を下した。ピッチでは出場5試合無得点も、リーグ戦終盤は石崎監督直々の指名でベンチでの“声出し隊長”に就任した。10月2日の横浜FC戦では1-1の後半残り2分で、FW上原に「慎也っ、お前が決めてこいや~っ」と猛ゲキを飛ばし、決勝点を“アシスト”。陰の戦力として昇格に貢献したベテランDFの雄たけびも、査定に反映された。

 4クラブで昇格に貢献してきた請負人。試合後の“岡山劇場”も恒例行事となった。3日の最終東京戦後、チームの祝勝会でFW中山から、手本にしてきた“ゴン劇場”を始めた理由を聞いた。「まずはサポーターがどうしたいかということが大事と聞いた。僕のはまだ甘いとも言われました。応援してくれる人の思いをうまく形にできたら。毎試合3万人超えするようなチームにしたい」。来季J1では、ピッチ内外での“ゴンオカ劇場”が見られそうだ。【永野高輔】