必殺“イグアスヘッド”で10戦ぶり勝利を呼び込む。札幌は今日28日、札幌厚別公園競技場で名古屋と対戦する。新ブラジル人FWテレ(22)は1トップでの先発が濃厚だ。Jデビュー戦に向け、186センチの高さを生かしたヘッドでの初ゴールを宣言。助っ人選手では06年のFWフッキ以来6年ぶりとなる初陣弾で、札幌の英雄列伝に名を刻む。

 未知なる巨砲テレが、名古屋戦でベールを脱ぐ。札幌・宮の沢で行われた27日の戦術練習では主力組の1トップに入ってプレー。25日の北海道教大岩見沢戦で痛めた右足首捻挫も回復し「足は問題ない。FWとしてゴールを決めるのは当然の仕事。フィジカルを生かしたプレーでチームを勝たせたい」と意気込んだ。

 石崎信弘監督(54)にもチームメートにも、まだ能力の数%しか見せていない。新戦力チェックとして行った25日の北海道教大岩見沢戦は出場15分で途中交代。披露したのはワンチャンスを生かしたヘッドでの1発だけだった。それでも石崎監督は「分からない部分はあるが高さと体の強さはある。クロスは上げやすくなる。動きも徐々に良くなってきた」と期待した。25日朝に届いた新シューズも26、27日と2日間の練習で足になじませた。時差ぼけも解消。初の「100%テレ」が札幌厚別のピッチで躍動する。

 得意のヘッドは前所属クラブの名前にちなみ“イグアスヘッド”と名付けた。ブラジル・イグアス在籍時に世界遺産の名瀑イグアスの滝を訪れ、自身のプレースタイルと重ね合わせた。最大落差82メートルの「悪魔の喉笛」のように、高所からたたきつけるのが特長。「自分の武器を最大限に生かす。今まで競り負けたことはないからね」と、闘莉王、ダニエルらJ屈指の猛者たちをはね飛ばしてゴールを狙う。目標は残り16戦で最低10発。記念すべき1点目のポーズは当然、両手を左右に広げた「テレマーク」だ。

 鈴木通訳のサポートもあり、初の海外生活にも慣れた。「ピッチがオレの仕事場さ。サポーターの胸にテレの名をがっちり刻みつける」。これまでデビュー戦で得点した助っ人は97年バルデス、00年エメルソン、01年ウィル、03年ホベルッチ、06年フッキと札幌を支えた英雄ばかり。12年はテレ弾量産で、J1残留につなげる。【永野高輔】