<J1:札幌2-1名古屋>◇第19節◇28日◇札幌厚別

 ハモン融合で10試合ぶり勝利!

 札幌は名古屋に勝ち、5月3日のC大阪戦以来、86日ぶりの白星を挙げた。Jデビュー戦だった新加入MFハモン(24)が先制アシストに加え、決勝ゴールの起点になるなどフル回転した。ともにデビュー戦となったDF金載桓(24)、FWテレ(22)も攻守に奮闘し、連敗を9でストップ。後半戦ホーム初戦で貴重な2勝目を挙げた札幌が、逆襲を開始する。

 札幌の新将軍ハモンが悠然と勝利の余韻に浸った。終了のホイッスルが鳴ると、しばらくピッチをながめてから、ゆっくりDF日高に歩み寄った。「オレのことよりチームとして勝ったことが大事。みんなが喜んでくれたのがうれしいんだ」。日高を抱き上げ、喜びを分かち合うと今度は報道カメラと“マッチアップ”。レンズを軽くにらみつけ左親指をあげ「いいね」ポーズだ。やんちゃな新助っ人が、デビュー戦から、いきなりファンを魅了した。

 まずは後半10分だ。カウンターでDF岩沼のパスを受けると、右サイドから飛び出してきたMF山本に絶妙なキラーパス。先制点を演出した。「イメージ通り。山本が後ろから飛び出してくるのは当然、分かっていたから」。同33分にはゴール正面から右足でカーブをかけながらミドルシュートも放った。惜しくもゴール上に外れたが、後半ロスタイム2分の決勝点の起点になるなど、全得点に絡む活躍で勝利に貢献した。

 指揮官の信頼が、助っ人のJデビューを陰で支えた。試合2日前の26日の練習途中にハモンが疲労を訴えて途中離脱した。ケガではなかったが「自分は本番から逆算して考えている。ここまで一気に上げてきた疲れを落としたい」と自己流調整を訴えた。過去にもフランサ、クライトン、ジュニーニョら実績あるブラジル人選手を巧みに起用してきた石崎監督は「いいよ」と即答。ブラジル人独特の感覚を信じた指揮官の思いに、結果で応えた。

 試合途中で2度、足をおさえ倒れ込んだが、終わってみれば90分フル出場。多少無理して続けていた分、まだまだ100%ではない。「コンディションが上がればもっといいプレーを出せる」と胸を張った。25日の練習試合後、ハモンの動画を極力放送しないようテレビ局に“情報統制”も出した。それだけ勝負をかけた一戦で、勝ち点3を挙げた。どん底には変わりないが、運はまだ残っている。【永野高輔】