4カ月ぶり先発で定位置を取り返す-。札幌は5日、札幌・宮の沢で戦術練習を行った。FW前田俊介(26)は主力1トップでプレー。8日の天皇杯2回戦、長野パルセイロ戦(札幌厚別)での先発出場が濃厚となった。今季開幕から攻撃の核として貢献も、5月19日のリーグ鹿島戦で左太もも裏を肉離れして離脱。15試合112日ぶり公式戦先発で勝利を呼び込み、復権を狙う。

 ようやくチャンスが巡ってきた。この日の戦術練習で前田は宮沢との連係から、逆足の右足でシュートを決めるなど冷静な判断でチャンスメークした。8日の天皇杯に向け「準備はできている。チームがこういう状況だし、リーグ戦ではなくても、しっかり結果を残したい」と意気込んだ。

 1回のチャンスを確実にものにする。12年序盤の札幌は前田のチームだった。だが、5月19日の鹿島戦で左太もも裏を負傷して離脱。不動の攻撃の核不在を受け、攻撃の核は新たに補強されたMFハモンに代わった。その助っ人は1日のリーグ清水戦で退場処分を受け、天皇杯2回戦が出場停止。代役としての復権舞台だが「出られるときにしっかり貢献することが大事。チームのためのプレーをしたい」と前を向いた。

 じっくり準備は整えてきた。7月15日の札幌U-18との練習試合で実戦復帰。その後、実戦7戦4発と結果を残してきた。石崎監督も「公式戦に出られない間も、練習では淡々といつも通りプレーする。ロッカーでも積極的に声を出している」と練習態度、精神面ともに評価。前田も「勝ち方よりとにかく勝つこと。90分も大丈夫」とフル出場での勝利を目標に掲げた。

 一瞬のひらめきから放たれる左足のドリブル、パスはチームでも群を抜く。公式戦復帰した8月4日C大阪戦では、わずか18分間の出場ながら、後半34分に鮮やかな左クロスを宮沢の頭に合わせチャンスをつくった。ブラジル人MFハモンでさえ「前田はエクセレント」と言う技術が再融合すれば、リーグ戦の巻き返しにもつながるはずだ。

 守備に課題があるハモンとの共存が難しく、リーグでは同時に出場したことがない。だが、天皇杯の活躍次第では、新たな可能性も見えてくる。「ケガの間、外から見てきて自分なりに考えたこともあった」。15日には、リーグ柏戦もある。天才レフティーの進化形をピッチで表現し、希望の光を見つけ出す。【永野高輔】