札幌FW内村圭宏(28)が、来季も札幌に残留することが8日、決定的となった。札幌市内のクラブ事務所で2度目の契約更改交渉に臨んだ。来季は若手中心の編成に切り替わるため移籍の可能性もあったが、クラブは攻撃の核として慰留。札幌で再昇格を目指すという本人の意志も固く、今後は代理人を挟み、残留の方向で交渉を進めていく。

 札幌での借りは札幌で返す。昨季はチームトップの12発で昇格に貢献した内村だが、今季は持病の腰痛に苦しみ2ゴールにとどまった。エースとしてJ1残留に貢献できなかった責任を強く感じていた。「個人的にも、こういう結果に終わったのに、また札幌でやってくれ、と言われるのはありがたいこと。評価には結果で応えないと」。J1他クラブから打診もあったが、この日までに札幌残留の方針を固めた。

 イバラの道をあえて選んだ。来季トップチーム人件費は今季の半分以下となる2億2000万円前後と、大幅に圧縮される。さらに若手中心のチームへの移行。財政面の厳しさをもろに受ける1年となる。それでも「おれたちが勝ち続ければ客も増える。そうなればクラブも潤う。会社がどうとかじゃない。おれたちがやらないと話にならないから」と言う。29歳とベテランの域に入る来季、得点源としてだけでなく、精神的なけん引役も担っていく。

 オフは、地元大分で今季苦しめられた腰痛の治療やケアの研究に費やす。「腰が得意な先生のところで見てもらったり、触って確認してもらうとか、考えている」。今季は腰痛により3度離脱した。2ゴールも、1点はPK。苦しんだ1年の借りは、地道なボディーメンテナンスで取り返す。

 経費削減のため始動時期は約1週間遅れ、グアム1次合宿も廃止される。それでも「当たり前にグアム合宿に行くより、こういうハンディをプラスに持っていけばいい。オフが長くなる。準備時間はある。言い訳はしない」と前向きだ。

 最低目標は背番号と同じ13点。昨年はJ2で12発と爆発したが「腰のコンディションさえ良くなれば、やれる。まず1年しっかり試合に出る。前回J2だったときより多く点を取りたい」と言った。主将の河合、最古参の砂川に続き前線のキーマンも残った。少しずつ財前新体制の可能性がふくらみ始めている。【永野高輔】