Jクラブ初のOB社長誕生!

 札幌を運営する北海道フットボールクラブが20日、定例取締役会を開催し、現チームアドバイザーで元主将の野々村芳和氏(40)の新社長就任が内定した。来年3月の株主総会で正式決定となるが、1月1日からは顧問に就任し、事実上のクラブトップとして手腕を発揮する。また、矢萩竹美現社長(62)が、3月いっぱいで退任することも決まった。

 札幌が新たな旗印の下、荒波に乗り出す。この日、札幌市内のクラブ事務所で定例取締役会が行われ、野々村氏が次期取締役候補として選任された。3月の株主総会を経て新社長として正式発表される。

 チームは1月に始動するため、同1日に顧問に就任することも決定。年明けから事実上のトップとして経営手腕を発揮する。矢萩社長は「顧問としての就任を決議した。事実上の社長交代となる」と説明。新任が内定した野々村氏は「選手として最高の思い出をくれた札幌に、このような形で戻ることができてワクワクしている。みんなでたくさんの夢を描き、1つ1つ実現し一喜一憂できることが楽しみ」と意気込みを話した。

 JクラブのOB選手が古巣社長に就任するのは史上初。選手引退後のキャリアとして同氏が新たな道を切り開くことになる。メーンスポンサー石屋製菓前社長の石水勲取締役(68)は「やってくれる。ファンも増えるはず。札幌の事情も知っており人的ネットワークも豊富。チームPRの役目も期待したい」と話した。J2降格に伴う緊縮財政の中、元主将としてのカリスマ性や人脈、サッカー教室経営などに携わってきた手腕を生かし、クラブ改革を目指す。

 OB社長誕生でスポンサー等、周囲のイメージも一変する。当初、クラブ最低の2億5000万円前後を想定していたトップチーム人件費も、数千万円単位の上積みが予想され、3億円程度まで増える方向。矢萩社長も「野々村氏の意向を反映した予算にもっていけるようにしたい」と、追い込み営業で、新体制へのスムーズな移行を図る。

 コーチ就任が決定的な名塚善寛氏(43)は00年に岡田武史元監督のもとでJ1昇格、01年に残留を果たした同士。札幌黄金期を築いた中心選手たちが手を取り合って、チーム強化、経営両面でクラブを一新させていく。【永野高輔】

 ◆野々村芳和(ののむら・よしかづ)1972年(昭47)5月8日、静岡・清水市(現静岡市清水区)生まれ。清水東高、慶大法学部を経て95年に市原(現千葉)入り。00年札幌に移籍。冷静かつクレバーなボランチとして同年のJ2優勝、J1昇格に貢献。01年は主将としてクラブ唯一のJ1残留に導き、シーズン終了後に現役引退。06年にはサッカー教室運営などを行うクラッキ社を立ち上げ、代表取締役社長を務めながら、札幌のアドバイザーとしても尽力。現役時代の成績は、J1通算118試合6得点、J2通算36試合2得点。175センチ、67キロ。血液型A。