Jリーグが、14年度シーズンから「審判無線システム(通称スポーツ無線)」の導入を目指していることが10日、分かった。主審、副審2人、第4審がイヤホンとマイクをつけて試合進行する。欧州主要リーグでは、既に導入されており、2月23日に行われるゼロックス・スーパー杯(広島対柏、国立)で、試験導入する。同システムが定着すれば、将来的にはチップ付きボールも導入する可能性があり、より正確で公正なジャッジでリーグを盛り上げる。

 審判の目を盗んだマリーシア(ずる賢さ)は、できなくなる-。Jリーグは今季のゼロックス・スーパー杯で、スポーツ無線を試すことになった。審判員4人が耳から口元まで伸びるイヤホン付きマイクを着用し、90分間、試合をさばき、主審の目が届かない位置でのファウルやトラブルなどは、リアルタイムで各審判が主審に報告できるシステムを試行する。

 Jリーグ関係者は「今回はあくまでもテスト。近い将来にはリーグでできるようにやりたい」。スポーツ無線は、06年W杯ドイツ大会から導入された。現在、FIFA主催の大会や世界主要リーグは使用しているが、日本は周波数の問題で電波法に引っかかる部分があり、一昨年からのクラブW杯、昨年夏のU-20(20歳以下)女子W杯など、一部の試合で政府の実験許可を得て、テスト実施した程度だ。

 現在、国内のラグビーでは、スポーツ無線に似たシステムが導入されているが、ボタンを押さないと会話ができず、いわば、無線機のようなものを使用している。Jが導入を目指しているのは、試合中に電波を流しっぱなしにして、ボタンなしでも常に審判同士で会話ができるもので、携帯電話を90分間、つなげているようなシステムだ。

 Jリーグは、totoも関連することから、より正確なジャッジが求められており、政府もスポーツ無線の導入に前向きだ。昨年5月に都内で開かれた「スポーツ議員連盟総会(麻生太郎会長)」で、導入に向けて努力していくことで意見をまとめている。

 14年度からの実施を目指しており、関係者は「スポーツ無線の導入に成功すれば、段階的に次はチップ入りボールも導入することになると思う」。ゴール判定が明確になり、ピッチ上で審判の死角がなくなれば、無用な選手からの抗議も減り、競技力向上にもつながる。観客動員の減少に悩むJリーグは、ジャッジ改革とともに活路を見いだす。

 ◆審判無線システム

 国際サッカー連盟(FIFA)が、主要大会で円滑かつ効率的なジャッジを確保するため、担当審判員に無線システムを導入し、06年W杯ドイツ大会から使用。現在、欧州、中南米など、世界の主要リーグでも用いられており、アジアサッカー連盟(AFC)傘下では韓国、オーストラリア、中東主要国のリーグで使用されている。