札幌の財前恵一監督(44)が16日、札幌市内で全コーチ、強化部を交えた就任後初のスタッフミーティングを行った。始動する21日からのチームづくりに向け、まず前日15日に契約合意に至ったMF古田寛幸(21)のレベルアップを要求。チームとして両サイドバックの強化、昨季成績を白紙にした横一線での定位置争いをポイントに掲げた。個人の成長と、チーム内競争をあおり、J1再昇格へのベースをつくる。

 早くも新指揮官から厳しい要求が飛び出した。この日、財前監督はまず、前日15日に、ラスト合意となった古田のチーム内での存在について言及した。「去年はかなり出ていた選手だし残ってくれたことは大きい。でも彼はもっとできる。ドリブルの仕掛けだけでなく、中盤の選手として、もっとつなぎの場面でボールに絡む回数を増やす必要がある」。U-18コーチとして高校時代の古田も見てきた。そのデータも踏まえて「それぐらいやれないと上のレベルでは通用しない」と、成長を促した。

 当然、ポイントは古田だけではない。全体のイメージづくりの中で、肝となる部分についても頭を巡らせた。それは両翼だ。「サイドバックが気が利かないと攻守においてボール保持が難しくなるから、そこはかなり要求する」。13年陣容では日高、上原、前、小山内、新人の松本、堀米、韓国人DF趙ら、タイプの違うサイドバック経験者がいる。その中で「経験者はすべて試す。ここはかなりの競争になるだろう」と定位置争いをあおった。

 若手にはU-18コーチ時代のイメージが残る選手もいるが、あえて全てを白紙にして特長を見極める。昨季の試合も「先入観が入るといけないので、あまり見ていない。すべて横一線に。21日からの練習を見て考えていきたい」と言った。昨季の成績や過去の実績に左右されない。6回を予定している熊本合宿中の実戦を繰り返して、開幕スタメンを判断していく。

 前日に31選手が確定したことを受け「相手クラブの状況をまだ見ていないが、やっていけると思った」とJ1再昇格への手応えを示した。監督1年目の挑戦。緊縮財政での船出となるが、フロントも、限られた条件下で最大限の結果を出した。あとは財前タクトで、ベストの布陣を形作っていく。【永野高輔】