大事なことは1回で覚えろ!

 札幌は4日、熊本県総合運動公園陸上競技場で合宿を開始した。財前恵一新監督(44)にとっては、初のキャンプイン。初日の練習後には、今季の基本戦術を説明する全体ミーティングを行った。チーム方針を伝える機会は、この1回で終了。財前流を素早く理解し、ピッチで体現できない選手は、定位置争奪サバイバルから振り落とされることになる。

 熊本で激しいバトルが繰り広げられる。今季初の芝の上での練習。財前新監督は早速、ポジション別に3チームに分け、8対8のゲーム形式を組み込んだ。「連休明けなので、少しリラックスしていいと思ったけど。みんな積極的だった。感触はいいよ」。今日5日の夜からは個人面談を行う。選手の意見を聞きながら、一気に財前サッカーを注入していく。

 2度、同じ話はしない。この日の全体ミーティングで、チーム方針が伝えられたが、本格的な説明はこれで終わり。「しつこく言う必要はない。やらない選手は出られない」。原則、1回でのみ込めない者は振り落とされる。財前流は、常に素早い理解力を求める。

 実戦前ミーティングも、石崎前体制では試合前後に1回ずつ行ったが、今季から試合前の1回に限定する。「すべてグラウンドで評価されるということを分からせたい。選手には1日1日を大事にしようと伝えたので」。緊縮財政のため、合宿は1回に短縮された。開幕までは残り1カ月。課題が出れば指摘するが、いちいち立ち止まり、じっくり反省する時間はない。

 横一線での定位置争いの始まり。選手も危機感を募らせており、MF前は「新しいスタイルを早く理解してアピールしていかないと」と気を引き締めた。

 この日の熊本上空は分厚い霧に覆われ、選手便の1つ前の便が、やむなく福岡空港に着陸した。福岡着陸の場合は練習回避も想定したが、到着直前に霧が晴れ、無事熊本に降りた。「幸先いいですね」とクラブ広報。雲行きは悪くない。火の国で、素早く無駄なく、財前サッカーを仕上げていく。【永野高輔】