タリーゼのために点を取る!

 熊本・大津運動公園でキャンプ中のJ2札幌FWテレ(23)が8日、助っ人FW4シーズンぶりの開幕スタメン入りを誓った。昨季7月に途中加入も、ケガに苦しみ5試合無得点と結果を残せなかった。今季は背水のシーズン。09年キリノ以来となる助っ人FWの開幕先発を奪取し、J1昇格と、故郷ブラジルにいる婚約者タリーゼさん(20)との結婚に花を添える。

 チーム最強のパワーFWが、一気にトップギアに上げていく。この日の練習では、強烈なヘッドでゴールを狙うなど、キレのある動きを見せた。明日10日のKリーグ水原三星戦に向け「まずはFWとして絶対にゴールという結果を出して、開幕戦に向けアピールしたい」と意気込んだ。

 前日7日のレノファ山口戦は途中出場。得点はならなかったが、2点目は精力的にゴール前で寄せ、こぼれ球を荒野が押し込んだ。3点目の堀米のシュートも、内村のパスをスルーし、自ら背後の堀米に流して生まれたものだった。視察した野々村芳和顧問も「すごく良くなっている。勝つために何が必要かを考えている」と絶賛。自分の得点だけじゃない。財前スタイルに素早く順応し、開幕先発の座を狙う。

 準備は万全だ。昨季終盤は92キロあった体重をブラジルでの徹底した絞り込みで85キロまで落として合流した。太りやすい体質だけに、熊本合宿ではサラダを多めに摂取するなど体質改善にも挑んでいる。「肉が好きだから、その分、野菜を多く取ってバランスを考えている」。体脂肪率は昨季の18%から13%に落とした。Jクラブの合宿は初参加となるが、5日のペース走では設定タイムを楽々と上回り、早いグループに昇格するなど日本流の調整も精力的にこなしてきた。

 ブラジルの故郷ドン・ペドリトに残した恋人タリーゼさんとは今オフの結婚を考えている。「まずサッカーに集中。昨季は悔しい思いをしたし、いい報告をしたい」。恋人に吉報を届けるため、5戦不発に終わった12年の雪辱を目指す。

 開幕戦で先発した助っ人FWは、尊敬する06年のフッキを含め6選手がチーム得点王に輝いている。「守備でも攻撃でもチームに役立ちたい」。謙虚な23歳が、地道なトレーニングで進化し、赤黒英雄列伝に名を刻む。【永野高輔】

 ◆リーグ開幕戦に先発した助っ人FWと得点

 96年アルシンドから09年キリノまで8人が経験しており、アルシンドと02年のロブソン以外はその年のチーム最多得点をマークしている。バルデスが97年(JFL)40点、98年(J)21点。00年(J2)にエメルソンが31点、01年(J1)ウィル24点、06年(J2)フッキ25点。ダビは07年(同)17点、08年(J1)16点で09年キリノ(J2)が19点。