<J2:札幌2-1徳島>◇第8節◇14日◇札幌ド

 パウロン劇場でホーム初勝利!

 J2札幌は徳島を下し、今季ホーム初勝利を挙げるとともに、クラブのJリーグ本拠300試合目を飾った。0-1の後半10分に新外国人DFパウロン(23)が、右CKから同点ヘッド。J初ゴールで勢いに乗ると、同29分にはDF上原慎也(26)の逆転ヘッドのオトリとなるなど、全得点に絡む活躍で3戦ぶり白星に貢献した。チームはJ2ホーム通算100勝にも到達した。

 192センチの肉体が札幌ドームで躍動した。まずは0-1の後半10分、上里の右CKに、パウロンが反応した。「うまく合わせられて良かったよ。タイミングが合ったね」。頭1つ抜け出しMF青山を振り切ると、ボールは額を軸に90度コースを変え、ゴール左隅に突き刺さった。

 見せ場は1回だけじゃない。同29分、上里の左CKに跳び上がりマークを引きつけると、今度はパウロンの背後から飛び込んだ上原の頭にドンピシャで当たった。岡山戦前から助っ人DFを軸にしたセットプレーの練習を徹底してきただけに「練習は裏切らない。最高の気持ちさ」とパウロン。初めてリスタートから得点が決まり、財前監督も「セットから点がほしかったのでうれしい」と喜んだ。

 クラブの地道な努力が、ようやく1つの成果を生んだ。オフには、三上GMは鈴木強化担当にブラジル人センターバックの獲得を指示した。緊縮財政のため、名門クラブやJリーグで実績ある選手を獲得するのは困難だった。同GMは「細かい部分はチームでフィットさせながら育てる。とにかく強くて高さがある選手がほしい」と、戦術よりフィジカルの強さを重視した補強戦略を立てた。

 ブラジルで視察した鈴木強化担当は「複数の選手を見たがパウロンしかいないと感じた。性格も真面目でうちに合う」と獲得を進言。来日時はゾーンDFを知らなかったが、熊本合宿から徹底して教え込んだ。デビューのG大阪戦、前節岡山戦と2戦連続3失点。それでも財前監督は我慢して使い続け、1得点“1アシスト”と、まずは攻撃面で補強の効果が出た。

 当然、課題はある。前半29分には、中途半端なクリアが敵に渡り、先制点につながった。それでも財前監督は「前半は対応の厳しい場面はあったが、後半は修正できていた」と及第点を与えた。失点も含め全3得点に絡むも、まずは勝利が先決。札幌が劇的“パウロンショー”を皮切りに、反攻を開始する。【永野高輔】